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料理とバイトと…
帰宅してから携帯を見てみると、周さんからのメッセージが沢山入っていることに気がついた。
また返事、遅くなっちゃった……
画面を見ながら申し訳ない気持ちになる。ごめんなさい周さん…… 罪悪感に少し苛まれながら、僕は携帯の画面に向かって小さな声で謝った。
とりあえずもう遅いし、お風呂に入ってからゆっくりと電話をしよう。そう思いざっと周さんからのメッセージの内容を確認してからお風呂に向かった。
今日は緊張したな。緊張しすぎて体が痛いや。でも陽介さんがアルバイト先を紹介してくれて本当によかった。
僕の我が儘の短期間の採用も許してもらえたし、何より陽介さんが僕に合わせてシフトを調整してくれたから心強い。
緊張もさることながら、明日からの事を考えるとワクワクしてくる。
バイトのない日は圭さんの家で料理を教わる。料理と言っても、僕はまだ野菜の切り方をそこそこ理解したくらいだ。圭さんが陽介さんのために料理を作ってるのを見せてもらってる段階だった。
僕は周さんの誕生日に何を作るかもまだ決めていない。
でも…… 何を作るのかを考えたり、貯めたお金で何を買おうかと悩んだり、喜んで笑ってくれる周さんをイメージしたり…… まだ準備段階なのに、実際のところ僕は楽しくて楽しくてしょうがなかった。
お風呂から出て、ベッドに横になりながら携帯を弄る。
このことは全部周さんには内緒だから…… なんて言おうかなぁ。うん、下手なこと言ってバレちゃわないようにしなきゃ。
「………… 」
そのまま僕の意識は夢の中──
朝起きて、周さんに返信せずに寝てしまったことに気がつき慌ててメールを入れた。
『周さん返信遅くなってごめんなさい! 疲れてて寝ちゃいました』
失敗した! 色々と考える前に連絡すればよかった。周さん、心配しただろうか? 怒ってないかな? 大丈夫かな?
でも学校で会えるよね?
僕は周さんが毎日イライラしてるなんて微塵も思わず学校へ行った。
教室に着くと、康介が僕に手を振る。
「康介おはよう!」
「兄貴から聞いたよ。バイト始めるんだって?」
あ…… バイトの事、陽介さんに口止めするの忘れちゃった。康介に早速バレてしまって恥ずかしかった。
「……うん。短期だけどね…… あのさ、康介」
ん? って顔で僕を見る康介に、周さんには絶対に内緒にしてほしいって事をお願いした。
「大丈夫だよ、わかってるって。でも、周さん最近なんだか機嫌悪いぞ。ちゃんと電話に出たりメールの返事してっか?」
康介に指摘されて、初めて気が付いた。メールはおろか、ここ暫く周さんと会ってもいない。昨晩気が付いたメッセージの中には、お昼を誘ってくれてるのもあったのに……
僕はそんな周さんの言葉に気付かずに、志音と学食に行ってしまったんだっけ。
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