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どうにもこうにも
昼休みの前に僕は周さんの教室に向かった。
直接周さんと会って、返信が遅れた事や忙しくてなかなか会えない事をちゃんと謝りたかったから……
二年生のフロアにつくと、知らない先輩から声をかけられる。
これは毎度の事だ……
適当に先輩達をかわし逃げながら周さんの教室の前まで到着すると、僕は廊下の窓から中を覗く。
周さん…… いるかな? ざっと教室を見渡したけど、周さんの姿はなかった。
しょうがない、昼休みにちゃんと謝ろう……そう思って諦めて戻ろうとすると、突然誰かに肩を叩かれて驚いてしまった。
「あっ! 修斗さん……」
「なに? 竜太君こんなところでどうしたの? 周に用? 周なら具合悪いってさっき保健室に行ったよ」
え?
「具合悪いって! 周さんどうしたんですか?」
サボりじゃなくて具合が悪いなんて周さんにしては珍しいから凄く心配。
「大丈夫だよ、そんな心配そうな顔すんなって。竜太君が保健室行けばすぐに元気になるよ」
そう言って笑ってる修斗さん。意味がよくわからなくて僕は首を傾げてしまった。
「周、多分竜太君不足で体調悪いんだよ。次の昼休み、あいつと一緒に食べるんだろ? 周の事迎えに行ってやってよ」
修斗さんにそう言われ、僕は大急ぎで保健室に向かった。
保健室に入ると、高坂先生が僕を見るなり大きな溜息を吐く。
「橘はそこだよ…… あいつイライラして面倒くさいから竜太くん早く連れてってよ」
面倒臭そうにそう言うと、また机の上に視線を落とし仕事を始めてしまった。
言われた所のカーテンの隙間からベッドを覗くと、布団に潜り込んで寝ている周さんの姿が見えた。
「周さん?」
僕は声をかけながらベッドサイドの椅子に腰掛ける。周さんは寝てしまっているのか声をかけても返事はなかった。
周さんの顔見るの何日ぶりだろう──
「周さん……」
周さんの顔が見たい…… 布団に潜り込んで寝ている周さんの背中に僕が呟くと、凄く小さな声が聞こえて来る。
「……竜太のばか」
「周さん? 起きたんですか?」
僕が聞いても黙って無視をする周さん。布団に潜ったまま顔も出してくれない。
……きっと僕に対して怒っているんだ。
僕は慌てて布団ごと周さんに覆い被さるように抱きしめてしまった。
「周さんっ! ごめんなさい。怒ってる?…… 僕に顔、見せてください」
周さん、動かない。
やだ……
どうしよう……
「周さん、やだっ。僕……周さんの事大好きです……お願い、顔見せて……」
全然顔を出してくれない周さんに不安が爆発してしまう。僕は半分泣きそうになって周さんに縋り付いてしまった。
やっとモゾモゾと布団が動き、頭をクシャクシャにした周さんが顔を出した。
「……なんで竜太が泣きそうになってんだよ」
ムッとした顔で僕を見る。
周さんだ! 久しぶりに顔見た…… 僕、どれくらい周さんの事 放っておいたんだろう。
思わず周さんに抱きつき、必死に謝った。
「周さんごめんなさい! 僕忙しくて返信も遅くなっちゃったし連絡もあまりできてなくて…… 」
話してる途中で、周さんにいきなりキスされた。
「んっ……ん! 」
「だからさ、なんで竜太が泣いてんだよ…… 」
周さんが苦笑いしながら僕の涙を拭ってくれる。
「……だって、だって周さん怒ってる。僕の事、嫌んなっちゃったらどうしようって思ったら悲しくて 怖くて…… 」
ギュッと周さんの胸に顔を埋めた。
「ばかだな。俺が竜太の事嫌いになんてなるわけねえだろ…… ちょっと寂しかっただけだから」
そう言って周さんは笑ってくれた。
よかった……
突然周さんにグッと抱き上げられ、僕もベッドに上がってしまう。そのままのしかかられ、押さえつけられた僕はまた周さんに唇を奪われた。
首元にもキスをされ、思わず声が上がったところでカーテンの向こうから大きな咳払いが聞こえてきた。
あ! 待ってここ保健室!
でも周さんは止まらない……
「おーーい、お前ら仲直りしたんならとっとと出てけよ。 ここでイチャイチャ始めんなよ!」
高坂先生がカーテンの向こうから不機嫌そうに声をかけてきた。
「あっ…… 周さん……んっ、やめっ……周さん……ひぁ……やめ……て……だめ……あん 」
ちょっと待ってーー! 本当に止まらない!
周さん、お願いっ、やめて……
やーー!!
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