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周の涙
周と竜太君と一緒に屋上で昼飯。勿論俺の隣には康介もいる。
朝から明らかに様子のおかしい周は、相変わらずな感じで竜太君を目の前にしても上の空だった。
何か考え込んでいる──
それに気付いた康介も心配そうに周と竜太君を交互に見ながら、変な雰囲気でお昼を食べた。
周から何も聞かされてはいないけど、昨日竜太君と何かあったのかな? 竜太君も周の事を気にしていて落ち着かないように見えた。
きっと俺らがいたら話したい事も話せないかと思ったので、康介と一緒に席を外すことにした。
教室に移動してると、康介が不安そうに話し出す。
「周さん、何なんすか? あんな周さん見たことない。あれ竜の隠し事のせいですよね? 周さん、怒ってるっていうより相当参っちゃってますよね…… 見ててなんだか可哀想」
康介の言う通りだ。
あんな憔悴しきってる周なんて俺だって見たことない。
周らしくない。
いつもの周なら、気になれば言葉なんか選ばずにズケズケと質問するだろうに、なんで何も聞かずに一人で悶々としてるんだろう。
とりあえず、康介と別れひとり教室に戻った。
程なくして周からメールが入った。携帯の画面には『保健室』とひと言だけ……
やれやれ……
はいはい、今から行きますよ。
保健室に入ると、高坂先生が振り向きもせず「修斗くんいらっしゃい」と声を掛けてきた。
「しばらくいさせてね、センセ」
俺はそう言って、周がいるであろうベッドのカーテンの中に入った。
「周? ……大丈夫か?」
静かに声をかけると、頭までスッポリと布団を被った周がゴニョゴニョと喋る。
「………… 」
何言ってんだかわかんねえよ。
「周? 竜太君と何かあったのか?」
そう聞いてみるもやっぱり布団の中でゴニョゴニョ……
だから! 聞こえねえんだってば!
イラッとするのを堪え、俺は布団の山をぽんぽん叩いた。
「周? とりあえずよく聞こえねえからベッドから出ようか?」
ゴソゴソと布団から顔を出した周を見て言葉を失う。
……マジか?
目と鼻を赤くした周が、のそのそと怠そうにベッドに腰掛けた。
周が泣くってどんだけだよ……
思わず隣に腰掛け、デカい体を縮こませてる周の頭を抱いてやった。
「なんだよ、どうした? 大丈夫か?」
俺の腕の中で俯いてる周は、震える声で囁いた。
「……竜太に男が出来た」
「……??」
ん? 男?
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