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心配だから…
周さんにメールを送るとすぐに着信。早すぎてびっくり。
「あ……もしもし? 周さん?」
僕が言い終わらないうちに周さんの大きな声が耳に響いた。
「竜太! 大丈夫なのか? 今どこだ?」
うわぁ、凄い剣幕……
僕は一旦深呼吸をして、周さんに落ち着いて話し始めた。
「僕は大丈夫です。たいした事ないですよ…… 周さん、今どこにいるんですか?」
周さんはさっきからハァハァと息を荒くしていて、どこか外を歩いてるか走っている感じがしたので慌ててしまう。
「ん? ここ? どこだ? あー、竜太んち向かってる」
……やっぱり。
「周さん? 僕まだ病院だから今日は会えませんよ」
今から僕が急いで帰っても、きっと周さんの方が早く家に着いてしまうだろう。そう思って僕が言うと、周さんは怒ってしまった。
「いいんだよ! 家の前で待ってるから! 俺は竜太に会いたいんだ!」
「………… 」
なんだか嬉しい。嘘をついていることに罪悪感が湧いてくる。
「ごめんなさい…… 急いで帰るから、少しだけ待っててくださいね」
僕はそう言って電話を切り、横でにこにこして見ている圭さんにお礼を言うと急いで自分の家に向かった。
駆け足…… 小走り…… 早足…… ダメだ…… 酷い息切れ。
でも周さんを寒い中待たせちゃいけないから、急がなきゃ。自分の運動不足を呪いながら、僕は自分の出せる精一杯の速さで家に帰った。
家の前まで来ても、周さんの姿はない。
あれ? まだ来てないのかな?
僕が先に来てしまったとは思えず、心配で周さんに電話をかけた。
「おーーい! 竜太ーー!」
声デカっ!
周さんはなぜか二階の僕の部屋から顔を出し、大きな声で僕を呼んだ。
「周さんっ! 今行きますからっ!」
ちょっと恥ずかしくて、僕は慌てて家に入った。
「ただいまぁ!」
玄関で声をかけると母さんがパタパタと走ってくる。
「買い物から帰ったら周くんが突っ立ってるからびっくりしちゃった。外で待つって言って聞かなかったけど、寒いから部屋に上がってもらったわよ。約束してたの? ダメじゃない、待たせちゃ!」
病院云々を言われなかったから、周さんは母さんには何も言ってないんだな。
よかった……
僕は急いで二階に上がり部屋のドアを開けると、ベッドに腰掛けてた周さんが慌てて僕に抱きついてきた。
「竜太! 大丈夫? フラフラしてねぇ?」
フラフラって……
今まさに周さんに力任せに抱きつかれてフラフラしてるよ。
体格差を考えて。
でもなんでこんなに心配するんだろう……
「大丈夫ですよ?……周さん? なんでそんなに心配してるの? ちょっと苦し……」
周さんはハッとして僕から慌てて離れてくれた。
「あ…… いや、あれだ! なんか最近…… 疲れるような事…… してねぇかな? どうかな? ……って思って。竜太、体力なさそうだし? 慣れねえことしたら疲れんだろ? あっ!……違う! 例えばの話だ」
しどろもどろの周さん。僕は陽介さんからのメールを思い出す。
周さんが偵察…… って、もしかして僕があの店でアルバイトしてる事バレちゃってるのかな。
きっとそうなんだよね。
陽介さんにも連絡を入れておこう。きっとアルバイトの理由、誤魔化してくれたと思うから。
でも僕そんなに疲れた顔しちゃってるかな? バイトも慣れてきたし、あまり疲れなくなってきたけど……
でも心配かけちゃったんだね。
気をつけよう。
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