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竜太…?

竜太? 何だか知らねえけど手が離せないんじゃなかったっけ? 目の前の光景に俺は首を傾げる。 でもまあどうでもいいや。竜太がここにいるならそれはそれで嬉しいことだ。 「竜太! 久しぶりだな」 俺は早く触れたくて、うつ伏せでベッドにいる竜太の上にボスンと飛び乗った。 …? ………? あれれ? 竜太、ちょっと会わない間に縮んだ? 俺の腕の中に収まる竜太の体が心做しか小さく感じた。 「竜太…… どうした? お前ダイエットでもしたんか?」 俺が竜太に声をかけると、ゆっくりとこちらを振り向いた。 怖い顔をした竜太が…… 竜太が…… 「ああ? お前竜太じゃねえ! 誰だ?」 目の前の顔は全く知らない男。俺は慌てて竜太だと思っていたそいつから離れた。 「あん? 誰だじゃねえよ! お前こそ誰だよ! 重てぇーんだよ! 離れろよ!」 ビックリして心臓がバクバクしてる…… 俺の前で怒ってるこいつは、黒い髪、漆黒の瞳に白い肌…… サイズがちっちゃくて声が高いのを除いたら、殆ど竜太だ。 いや、別人なんだけどな、それくらいよく似てるってこと。性格は真逆だけど。 「お前でっけえくせに飛び乗ってくんなよ。なんなの? 重たいんだよ! それに竜太君の事、呼び捨てにしやがってお前何様だ??」 初めこそ驚いてビビったけど、見れば見るほど竜太によく似ているから、どうにも可愛く見えてしょうがない。 「いやいや、そう怒るなって…… ごめんな。俺は周だ、橘周。お前の言う竜太君のお友達だ。先輩だぞ! すげぇだろ」 ちっちゃい竜太にキャンキャン怒られていたら、部屋に竜太が入ってきた。 今度は本物! 「竜太ーー! 久しぶりだな!」 抱きつきたかったけど、ちっちゃい竜太に睨まれてたから我慢した。 「ちょっと!伊織(いおり)? 何そんなに怒ってるの? 周さんにちゃんと挨拶したの?」 大きい竜太が、ちっちゃい竜太を叱ってる…… 思わずにやけて見ていたら、大きい竜太に睨まれてしまった。 「周さん? 何で伊織がこんなに怒ってるんですか?」 「………… 」 「竜太君。こいつがいきなり抱きついてきたんだよ。重たくて俺潰れちゃうかと思った。いきなりだったから怖かったよ……」 はぁぁ? 別に抱きついてねえし! てか何? さっきのあの剣幕が嘘みたいだ。「怖かったよ……」じゃねえよ! お前の剣幕に俺の方が怖かったっつーの! 「周さん? 本当?」 竜太が怪訝な顔をして俺を見ている。 「本当な訳あるか! 竜太かと思ってちょっとスキンシップしようとしただけだってば。俺がこいつに突っかかられてたんだっつうの…… てか、こいつなんなの?」 やっと根本的な疑問をぶつけられた。 そうだよ、このちっちゃい竜太君は誰なんだ?

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