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happy birthday!
「あの…… そのチーズケーキ、僕がさっき作ったんです。誕生日のケーキって言ったらホールのスポンジケーキなんだろうけど…… きっと周さん、あまり好きじゃないかなって思って。このくらいの甘さなら大丈夫かなって思ってチーズケーキにしてみました」
相変わらずもじもじしたままの竜太が俺にそう言った。
「超嬉しいんだけど! 俺がこのチーズケーキ食っていいの?」
聞いたら嬉しそうに頷いた。
……可愛い。
竜太が作ったというチーズケーキは本当に美味しそうだった。そういえばチーズ味のクッキーも食べたっけ。あれもちょっと塩っ気もあって美味しかったんだよな。竜太が俺を思って工夫して作ってくれたとなると、もう嬉しくてニヤニヤがおさまらなかった。
箱から出し皿に乗せる。そっとケーキをテーブルに置くと、すかさず竜太がポケットからロウソクを取り出してチーズケーキの上にブスブスと刺した。
「周さん! 火…… つけてください。あと電気消して!」
へ?
そこまでしなくてもいいんじゃね?
張り切ってそう言う竜太にちょっと戸惑いながら、チーズケーキにブサイクに突き刺さったロウソクに火をつける。電気も消して竜太を見ると、俺を見た竜太は「うん!」と頷き、にこっと笑った。
「周さんハッピバースデイ歌いましょう!」
目をキラキラさせて俺に言う。
??
「なんで俺が歌うんだよ? 歌わなくていいって、早く食わせろよ…… 」
「だって僕歌下手だから…… ね、お願い! 一緒に歌ってください」
「………… 」
何が楽しくて、自分のためにバースデイソングを?
でも嬉しそうに目を輝かせてる竜太のお願いだし、それに一生懸命俺のために用意してくれたんだ。ここはご希望通り歌ってやらなきゃ……だな。
大好きな人が俺のために誕生日を祝ってくれてる。こんなに嬉しいことはない。
「じゃ、歌うか……」
うん!と元気よくはにかんで頷いた竜太の 「さんはい!」を合図に、俺たちはバースデイソングを歌った。
ちゃんと、" happy birthday dear 周さん〜♪ " って歌ったぞ。自分で……
めっちゃ恥ずかしい…… けど、それ以上に凄く嬉しかった。
そして期待に満ちた目をして俺を見る竜太に見つめられながら、俺は一気にロウソクの火を吹き消した。
竜太が盛大に拍手をしてくれる。
……なにこれ、やっぱり恥ずかしすぎる。
「周さん、おめでとうございます!」
ソファに腰掛けた竜太が恥ずかしそうに両手を広げて俺を見た。
……あ、これ俺がよくやるポーズだよな。
その竜太の行動の意味がわかり、照れ臭さMAXで俺は竜太の腕に抱かれにいった。
竜太の隣に座り、竜太にギュッてされる。
ドキドキする……
「周さん……大好き」
俺の耳元で、そんな可愛く言うなよ…… 調子狂う。
「周さん?…… 顔、見せて」
ドキドキしながら俺は竜太の方に顔を向けると、チュッと軽いキスをされた。
なんなんだ!
もう!…… 堪らない!
「今日は雅さんは? お仕事ですか?」
いきなりそんな事を聞いてくるから少しポカンとしてしまう。
あ……お袋ね。
「今日はお袋、夜まで仕事だぞ」
「じゃぁ、雅さん帰ったら一緒にこのケーキ食べてくださいね」
そう言ってチーズケーキをしまおうとする竜太。
「おいおい! なんで? 竜太も一緒に食おうよ」
これ、一緒に食うために持ってきたんじゃねえのかよ?
「え……でも」
「でもじゃねえよ。お祝いしてくれんだろ? 一緒に……」
「じゃ、少しだけ頂きます。雅さんのも残しておいてくださいね」
そして竜太に切り分けてもらい、二人でチーズケーキを食べた。
びっくりするほど美味しくて、甘すぎないから俺にはちょうどいい。あまりの美味さに絶賛していたら、竜太は耳まで赤くして喜んだ。
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