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調子狂う…
竜太のチーズケーキを食べ終えると、お袋の分も皿に盛りラップをかけて冷蔵庫へしまう。お袋なんかどうでもいいのに「雅さんにも── 」と竜太が言うからしょうがないから残しておいてやった。俺が全部食べたかったのに…… でもお袋、喜ぶだろうな。帰宅してこれを食ってるお袋の顔が浮かんでちょっと笑っちまった。
テーブルを片付けてから、昼飯までゆっくりしようと俺の部屋に移動した。竜太をベッドに座らせ俺も隣に座り、他愛ないお喋りを楽しむ。
話を聞くと、本当は俺の誕生日にケーキの他にも色々してくれようとしてたらしい。内容までは教えてもらえなかったけど、足がもっと自由に動くようになったら改めてやってくれるって。それまではお楽しみです、と言われ気になったけど大人しく待つ事にした。
……楽しみだな。
今日は竜太の様子がいつもと違って調子が狂う。
言動だけじゃない。髪の毛もセットしちゃってお洒落にキメて……
普段は言動から可愛く見えることが殆どだけど、こうやって見るとやっぱり竜太はいい男だ。
こんなギャップは反則だ……
そんな事をぼんやりと考えていたら、ふと竜太に見つめられてるのに気が付いた。
「………… 」
「ん? 竜太、どした?」
竜太に顔を寄せて覗き込むと、俺の頭に手を回し強引にキスをされた。
急にそんなことするから凄い驚いた。驚いたと同時に、凄いドキドキしてヤバい……
何? この色気……
俺が驚いてるのも気にせず、竜太は自分から舌を絡め俺を舐った。いつもは受け身なくせにこんな風にされたら力が抜けてしまう。キスだけなのに、凄い感じる……
そしてとうとう押し倒されてしまった。
「んっ……ちょっと? 竜太……? どうした?」
竜太にドキドキさせられているのを悟られるのが嫌で、平常心を装いながらそう聞いた。
「……だって、周さん……僕に遠慮してなかなか触れてくれないから…… 僕が動けば周さん、僕の怪我を気にしなくていいでしょ? ……嫌…… ですか?」
嫌なわけないし。それにしても竜太、顔真っ赤だ…… きっと凄く恥ずかしいんだろうな。今日は僕がするからと、またゆっくりと唇を重ねてくる。
竜太が俺に跨り、キスを続けながら俺の服を少しずつ脱がしていき、自分もズボンのベルトを緩めた。
積極的な竜太も勿論嬉しいんだけどさ、そもそも足は大丈夫なのか?
足、痛いだろ?
竜太に足の事を心配して聞いてみても「周さん、黙ってて…… 僕がこうしたいんです」と、可愛い顔をして艶っぽくそう言った。そんな表情もするようになったのかとちょっと驚く。完全に竜太のペースだ。でもそれも全然悪くなかった。
「周さん…… 愛してます。今日は特別な日だから……たくさんたくさん、僕が愛してあげます」
竜太の愛撫に、言葉に、ドキドキしてゾクゾクする……ちょっとした事なのに気持ちが良くておかしくなりそうだった。
もう俺、声を抑えるのがやっとだ……
「んんっ… 」
一度声が漏れてしまえばもうこれ以上堪えることは難しかった。
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