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少し遅れの新学期
冬休みに怪我をして入院…… 退院してから、初めての学校。久しぶりの教室に少し緊張してしまう。ガヤガヤしている中、僕が松葉杖で教室に入るとすぐに康介が声をかけてくれた。
「やっと竜、学校来られたな。足大丈夫か?」
席に着きながら、僕は康介にお礼を言う。
「お見舞いも沢山来てくれてありがとう。母さんが凄く喜んでてさ、康介も色々手伝ってくれたんだって? よろしくって言ってた」
僕がそうお礼を言うと「たいしたことしてねえよ」と言って頭を掻く康介。
「ところでさ、周さんの誕生日って入院してた時だったんだろ? お祝いどうすんの? 頑張って準備してたんだろ?」
コソコソと康介が僕に言った。
心配してくれてたんだ……
「大丈夫だよ。だいぶ計画とは違っちゃったけど、昨日のお休みで二人でお祝いしてきたんだ。 凄く喜んでくれたからよかったよ」
そう言うと、康介も凄く喜んでくれた。
「よかったな、竜頑張ってたもんな」
「うん。ありがと」
昼休み、周さんと修斗さんが教室に来てくれた。
屋上は寒いから最近までは二年生の教室によくお邪魔してたんだけど、今日は僕が松葉杖じゃ歩くの面倒だろうと言って二人してわざわざ一年の教室まで来てくれたらしい。
でも、周さんも修斗さんも人気者だから…… さっきからまわりの視線とザワザワ感が物凄い。
「すみません。落ち着かないですよね?」
僕は気になって周さんに向かって言うけど、周さんは「全然気にしねえし」と言って焼きそばパンを頬張る。修斗さんは修斗さんでこの状況を楽しんでるみたいで、さっきから康介の事を放ったらかしで他の一年生と喋っていた。
それを見て康介がイライラしてるのがわかった。
「もう、修斗さんサービス精神旺盛なんだよ。ほっときゃいいのに…… 」
そう呟くと、昼食を終えた康介は教室から出て行ってしまった。
ああ…… 修斗さん、康介が出て行ったの気がついてないや。 周さんを見ると「ほっとけ」って顔してすましてる。
食べ終えた弁当箱を片付け、僕は周さんの隣に座り直す。ぴったりと寄り添っていると、周さんが話し出した。
「そういえばさ、来週会えないのつまんねえな。俺は別に行かなくてもいいんだけどよ…… てか、行くつもりなかったのにさ、竜太が行けってうるさく言うから行くんだぞ?」
そうなんだ。
来週は周さん達二年生の修学旅行がある。
この学校、変な時期に修学旅行なんだよね。火曜日から木曜日まで、しばしのお別れ。
初めは周さん、絶対行かない! なんて言ってるんだもん。
そりゃあ、少し会えないのは僕も寂しいけどさ……
「お土産楽しみにしてますからね 」
そう言うと、周さんは少し怖い顔をした。
「…… 浮気すんじゃねーぞ」
は? そんなのするわけないじゃん。
そんな話をしていたら、修斗さんが戻ってきた。
「ん? …… あれれ? 康介は?」
全くもう、この人は……
「康介なら、プイッとして出て行っちゃいましたよ。康介だって修斗さんとお喋りしたかったんじゃないですか?」
そう言うと「やべっ……」と呟き慌てて修斗さんも教室から出て行った。
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