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ちょっと素直に

今日から周さん達は修学旅行── 昨日の下校後、周さんと修斗さんと康介と四人でカラオケに遊びに行った。 康介は連日修斗さんと遊んでいたみたいで、なんだかラブラブっぷりが炸裂してて微笑ましかったな。 周さんはというといつも通り。まだ「旅行行かなきゃダメ?」なんて言っていた。でも、学校に来ても周さん達いないのってやっぱりちょっと寂しいね。 康介なんか、朝からとてもわかりやすい。 「おはよ! あれ? 康介君どうしたの?」 登校してきた志音が教室に入ってくるなり康介のちょっとした異変に気がついた。 「ん? どうもしねぇよ……」 「いやいや、どうもしなくないでしょ? 全然元気ないじゃん」 志音がそう言って笑う。 「あのね、二年生が修学旅行で今日からいないから、康介寂しがってんの」 僕がそう志音に説明すると、慌てて康介が口を挟んだ。 「ちがうって! 別に修斗さんがいないから寂しいってわけじゃねえから!」 康介の態度に志音はクスクスと笑いを堪える。 「僕は周さん達いなくて寂しいよ」 「………… 」 「竜太君はいつも素直で可愛いね」 康介には睨まれ、志音には笑われてしまった。 「康介君だって彼氏がお留守じゃ寂しくて当然でしょ? 素直になったら?」 「……なんで彼氏だって言うんだよ」 「……?」 なんだか康介がすっとぼけた事を言っている。もしかしてさ、バレてないとでも思ってるのかな? 「なんでも何も、付き合ってるんでしょ? 修斗さんと……」 志音に指摘され、康介はアワアワ慌てふためいて何故だか僕に文句を言った。 「竜! なんだよ! バラすなよ!」 もう志音と僕は顔を見合わせて大笑い。 「誰もバラしてないってば! 康介君見てれば誰だってわかるし! 面白いね、バレてないと思ってたの??」 康介、顔真っ赤。 「そんなにわかりやすかった……?」 僕と志音は二人揃って大きく頷いた。 「付き合う前から康介君が誰が好きかなんてわかってたし」 志音が康介の肩を叩く。「マジか!」と慌てる康介に何度も志音は頷いていた。 「康介は、自分が思ってる以上に わかりやすいと思うよ?」 僕がそう言うと、気をつけるよ……と康介は呟いた。 「でもさ、そうなんだ。部活もないし、放課後も修斗さんいなくてつまんない……」 急に素直になった康介がぼそぼそと呟く。 「そうだ! 俺さ、今日は仕事無いんだよね。暇なら竜太君と康介君、うちに遊びに来てよ。よかったら泊まってもいいし」 志音が友達を家に誘うなんて珍しい。 前に僕が志音の家に行った時は、友達なんて家に呼んだ事がない、家に呼べるような友達なんていないから……なんて言ってたよね。 なんだか凄く嬉しくなってしまった。 「康介、行こうよ! どうせ暇なんだし、今日は志音の家にお泊まりしよっ!」 「男子会しよー!」 こうして急遽、僕らは志音の家でお泊まり男子会をする事になった。

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