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修学旅行
修学旅行、怠くて行きたくなかったのに、竜太が大事な思い出になるんだからちゃんと行け!ってうるさく言うから、こうやって来てるわけだけど……竜太と会えないって思うと全くやる気が起きない。
つまらない……
でも修斗は相変わらず楽しそうだ。こいつは昔っから「何でも楽しまなきゃ損!」みたいなところがある。そういう性格は全くもって羨ましい。
「橘」と「谷中」で出席番号がいつも並んでるから、修学旅行の活動グループも宿泊先の部屋割りも全て修斗と一緒。あ、活動グループはランダムだから、たまたまなのか先生の配慮なのか……
まあ、怠いけど修斗といつも一緒なのが救いだな。
「なあ 周っ! ……写メとろ! 撮ったやつ康介たちに送るの」
さっきからこんな調子で飛行機の中やバスの中だけで、もう何枚撮ってんだろう? ていう勢いで写真を撮っている修斗にちょっと呆れる。どうせ撮ったやつ送るなら、景色のいいとことかの方がよくね? 向こう着いてから撮れよ……てか俺は竜太の写真が欲しいわ。
「後で撮ったやつ周のにも送っとくからね」
修斗の奴、ほんと楽しそうだな……
今年の二年の修学旅行は沖縄。
飛行機乗って空港着いて、今はバスで移動中。全員で観光してからホテルに向かうんだと。
「………… 」
バスん中、超うるせえ。
「このバスのガイドさん、可愛いね」
隣に座ってる修斗が指をさしてるバスガイド、他のクラスのバスのガイドと比べて断トツに可愛いって皆んな大騒ぎしてる……
うん、興味無い。
修斗もまわりに便乗して一緒になって楽しそうに騒いでたけど、そのうち飽きてきたのか俺にもたれかかって頭をグリグリ肩にぶつける。
「……なんだよ。鬱陶しいな」
「なんか疲れた……俺、眠い。周おやすみぃ……」
勝手に俺の肩に頭を乗せて居眠りを始める修斗。
……なんだよ、子どもかよ。
でも、修斗が疲れやすいのは本当だ。いつもこんなペースなんだよ、こいつは。
つまんねぇし、俺も修斗と一緒にうつらうつら居眠りをした。
途中途中で観光したりトイレ休憩だったりで行動したけど、バスの中ではもうほとんど眠って過ごした。
しばらくして、修斗に揺さぶられ起こされる。
「ホテル着いたよ起きて」
「……あ、悪いな」
俺は半分寝ぼけながらバスを降りた。
クラス毎にロビーに集まり、先生からの注意事項を聞く。野郎ばっかでめちゃくちゃ騒がしく、これ誰ひとりとしてちゃんと聞いてねぇんじゃね?って思う。
とりあえず、点呼の時には部屋にいりゃあ大丈夫らしい。
部屋毎に名前を呼ばれ、順番に部屋に入る。
俺の部屋は修斗と塚田の三人。塚田は俺にビビらず親しく話してくれる数少ないクラスメートだ。
居心地の悪い奴じゃなくて本当に良かった。
そんな俺の思いと裏腹に、塚田が大きなため息を吐いた。
「本当参るよ。よりによって周と修斗と同室なんてさ……この部屋が一番先生に目をつけられてるよ。お前ら絶対悪さすんなよな!」
修斗が「だろうな!」と言ってケタケタ笑った。
「そもそも、なんでお前らセットなんだよ。っておい!そこっ、問題児ふたり、聞いてるか?」
不機嫌な俺と、軽いノリの修斗に挟まれ項垂れる塚田が少し気の毒に見えた。
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