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記憶
「あはは、塚っちゃんおもしれ……」
修斗は笑いながら俺にもたれる。修斗も酔ってはいないけど、結構疲れてんじゃないのかな?
「……修斗、大丈夫か?」
気になって声をかけると、修斗はふんふんと頷いた。
そんな様子を見ていた塚田が少し不思議そうに俺を見た。
「周ってさ、さっきから思ってたんだけど……意外に気遣いの人なんだな。てか、修斗限定? やたら修斗のこと気遣ってねぇ?」
……そうかな?
そうかなぁって考えてると、俺にもたれかかってる修斗が振り返り俺を見上げる。
「周はすげえ優しくていい奴だよ。昔っからそうなんだ。だいぶ見た目で損してるけどね」
修斗が塚田にそう言ってるのを、なんだか照れ臭くなりながら俺は聞いていた。
「へぇ、お前らって付き合い長いの?」
塚田が興味を示し、身を乗り出し聞いてくる。
修斗とは小学校からずっと一緒だ……そう考えたら付き合いは長いよな。
多分俺の事を一番わかってくれる奴は修斗だ。そう言っても過言ではないくらいずっと一緒だったと思う。
「周とはね、幼稚園から一緒なんだよ 」
え?
「幼稚園? 小学校からじゃねえの?」
俺は幼稚園から……と言う修斗に不思議に思い聞いてみた。そんな俺をニコニコしながら修斗が見上げる。
「やっぱり周も覚えてないんだな……多分さ、幼稚園の頃の俺を覚えてる奴はいないと思うよ。でも、周はもしかしたら覚えててくれてるかなってちょっと思ったんだけどね。残念」
別に寂しそうな表情をするわけでもなく、修斗は笑顔でそう話した。
幼稚園……?
幼稚園の記憶は、ところどころだけどちゃんとあるはず。
なんで修斗との記憶がないんだろう。
俺が修斗と初めて会った日のことは鮮明に覚えてる。でもそれは小学校の入学式以降の出来事だ。
「……たしか、入学式から何日か経ってからか?修斗俺の席の後ろだったんだよな?」
俺がそう言うと嬉しそうに修斗が頷く。
「そうだよ。入学式の次の日から少し休んだから……周がでっかくて黒板見にくかったの凄い覚えてる」
塚田が俺を見て笑った。
「お前、小学一年から既にデカかったのか!」
そうだな……
俺はその頃、まわりチビばっか! って思ってた。
「俺が一番後ろの席でさ、学校行ったら前の席にでっかい奴座っててね、背中トントンして見えないって訴えたら、周ってばめっちゃ驚いてんの 」
「そうそう! 俺の後ろ誰もいないかと思ってたのにいきなり背中トントンされるんだもん」
修斗は思い出しながらクスクスと笑う。
「初めて交わした会話、おめぇ誰だ? ……谷中修斗です。って。笑っちゃうよね 」
そうだよ……
それが俺が修斗と初めて会った時の記憶だ。幼稚園なんかじゃない。
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