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二日目
一日目の夜は、三人でなぜだか俺の初恋話で盛り上がり、その後塚田の恋愛相談に突入して夜更かしをした。
塚田はなかなか人を好きになれないんだと。
ホイホイ誰でも好きになっちゃうよりいいだろ……って事で話はまとまった。
次の日の朝、塚田に蹴り起こされ眠い目を擦りながら朝食の会場となる大広間へ向かう。
修斗はスッキリと目覚めがいいみたいだけど、俺はダメだ。
塚田に蹴り起こされた不愉快さも重なり、どうにもイライラがおさまらない。
「今日はグループで自由行動だよ。塚っちゃん、俺らどこ行くの?」
隣に座る修斗が塚田に聞いてる。
「はぁ? でたよでた! お前らホント話聞いてないんだな。学校で行き先話し合ってみんなで決めたじゃんか。もういいよ、面倒くせえ。修斗も周も俺について来い。はぐれないで問題起こさなきゃなんでもいいよもう……」
そう言って納豆を啜りながら食べる塚田。
「塚田……ズビズビ言いながら納豆食うのやめろ」
塚田の汚ねえ食い方にもイラついた。
「相変わらず周は朝ご機嫌斜めだね。さっきね、康介からメール来てて、昨日の夜竜太君が周の名前を寝言で呟いてて可愛かったって言ってたよ」
は? マジか!
竜太、超可愛いんだけど!
「竜太君、どんな夢見てたんだろうね。可愛いよね」
修斗のおかげで幾分気分が良くなった。
「おぅ、塚田。俺あまり腹減ってねぇから先部屋戻ってるわ」
そう言って一人で先に部屋に戻った。
部屋に戻り、今晩飲む分のビールを冷蔵庫にしまい、まだ眠いからベッドに横になる。
そのまままた寝てしまったらしく、息苦しさで目を覚ますと、俺に馬乗りになってる修斗と目が合った。
「周行くよー。早く起きて!」
相変わらずご機嫌だな、修斗は。
「お前、あんまはしゃぐと疲れんぞ…… 」
そう言いながら、のっそりと起き上がり支度を済ませた。
また小一時間ほどバスに揺られて目的地で降ろされる。ここからは各グループで自由行動。
公園だったり、水族館だったり、幾つか決められた場所をグループ毎に好きに観光するらしい。
……興味ねぇなぁ。
俺のグループは修斗と塚田、あと他に二人の五人グループ。
「なぁ、塚田よ。俺はここで待ってちゃダメかな?」
目の前を歩いている塚田にそう声をかける。
「はぁぁ? 何言ってんだよ! ダメに決まってんだろ? 修斗も何とか言ってやれよ。周のやる気の無さハンパねぇなぁ……俺もうやだ 」
修斗が笑いながら俺の腕にしがみついてきた。
「いいじゃん、ちゃんと塚っちゃん達と観光しようよ。竜太君に思い出話してやれよ」
そう言いながらまた携帯を自分に向け写真を撮る。
こいつ何枚撮れば気がすむんだろう。俺も何枚撮られてるんだ?
歩いていてやっとわかった。
どうやら俺たちのグループは水族館に向かっているらしい。
水族館なら尚更、竜太と行きたいな。
ああ……あの時の竜太、可愛かったな。足治ったら、また連れてってやりてぇな。
ぼんやりとそう考えながら、塚田達より数歩遅れてのんびりと歩く。
途中、迷子の婆さんに話しかけられて塚田達とはぐれてしまった。でも俺らを監視してこっそりつけてきていた高坂のお陰でちゃんと塚田達と合流し、共に行動をしていたので怒られずに済んだ。
こうして二日目の自由行動は、水族館に公園……と観光し終了。ホテルに戻った。
ホテル着いたらまた竜太に電話しよう。
やっと明日帰れる。
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