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久しぶり

二泊三日の修学旅行が終わり、今日は金曜日。 周さんから朝からメールが入っていて、気持ちが昂ぶる。 『朝一で旧部室にいるから。Love竜太』 ラブって…… 周さんからの恥ずかしいメッセージにニヤニヤしながら身支度を整えていると玄関のチャイムが鳴った。 「竜おはよう! 行くぞ! あっ、おばさん、おはようございます!」 顔を出した康介は元気よく母さんにも挨拶をすした 「康介君、悪いわね。いつもありがと」 母さんに行ってきますを言い、僕は康介と一緒に登校した。 「三日間いなかっただけなのにね、久しぶりで嬉しいよね」 歩きながら僕が康介にそう言うと、そうだな! と康介もはにかんで笑う。 「でもよ、旅行中アホみたいに修斗さん写メ送ってきてさ……写真だけでメッセないから訳わかんねえのばっかり。あまりにも連続で送られてくるからだんだん嫌がらせか?って思えてきてさ…… 」 「あはは、修斗さんらしいね」 修斗さんは普段から携帯で写真を撮っていることが多いから想像ができて笑ってしまう。周さんはそういうのはあんまりないな。旅行中の写真とか、僕も少しは見たかったな。 「あ……僕ちょっと寄るところあるから」 学校に着くと僕は康介にそう言って、下駄箱へは行かず校舎の裏へ回る。 不思議そうな顔をしていた康介も途中で志音と合流し、何か喋りながら下駄箱の方へ消えていった。 周りを見回して誰もいないのを確認すると、旧部室のドアを開けてサッと中に入る。 鍵をかけ振り返ると目の前には周さんが立っていた。 「竜太……俺いなくて寂しかった?」 ふふ……周さんだって寂しかったくせに。 「はい 。周さん…… 早くギュッてしてください」 僕がそう言うと、照れ臭そうに周さんは僕を抱きしめてくれた。 「周さん… 」 顔を上げて周さんの顔を見る。 「周さんの匂いだ。久しぶりで嬉しです」 もう一度周さんの胸に顔を埋めると、周さんは僕の頭を撫でてくれた。 ……気持ちがいい。 周さんは僕の松葉杖をそっと退かすと僕を抱えて奥の机に座らせてくれる。 そのまま僕の前で屈んだ周さんは、愛おしそうに僕の唇にチュッとしてくれた。 その軽いキスが何だか逆に恥ずかしい。 頬が熱くなるのを感じながら、僕は目の前にいる周さんの制服のブレザーの裾をキュッと握った。 「周さんは僕と会えなくて寂しかったですか?」 周さんは少し目線を泳がせながら「そんな顔して反則だぞ。天然かよ」と言って赤くなった。 あれ? 照れてるのかな…… 「周さん?」 「あ! そうだ。竜太にお土産あるんだよ……ほら、竜太の好きそうなやつ」 そう言ってゴソゴソと紙袋を僕に渡した。 「ありがとうございます! あけていい?」 嬉しくて、僕はすぐに袋を開けた。 「美味しそう! 嬉しいです」 いそいそと自分の鞄にお土産をしまうと、両手を広げて周さんを抱きしめた。 僕が急に抱きしめたからか、周さんは少し驚いたように「おっ…」と呟く。 「周さん、そろそろ教室行かないと…… 」 そう言って、僕は机から下りて立ち上がると、慌てて周さんが僕の脇を抱えてくれた。 「ふふ……周さん優し」 なんだか嬉しくて、わざと周さんにしがみついて足を浮かすと、ワタワタと周さんは僕を抱き上げた。 「おいっ、急に危ないだろうが」 そう言っても周さんもなんだか嬉しそう。 「早く教室行くぞ……」 また軽く僕らはキスをして、二人で校舎へ戻った。

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