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康介のヤキモチ
修斗さんは修学旅行に行ってから凄いマメにメールをくれた。
「飛行機乗ってる〜」とか「いまバス乗ってる〜」とか……でも初日のこの画像付きメール以降はひたすらコメント無しの画像のみ。
まあ楽しそうで何よりだよ。
どれも可愛い笑顔でカッコいい修斗さん……これ待ち受けにしたら引かれるかな?
なんて思ったりして、修斗さんからの写メはすごく嬉しかったんだ。
そして今、学校の昼休み。
久々に修斗さんと周さんが一年の俺らの教室に来てくれて、皆んなと一緒に昼飯を食ってる。
最終日の写真を送り忘れたと言って、修斗さんがメールで送ってくれたんだけどさ……
何だよこれ。
胸の辺りがモヤモヤする。
修斗さんを見ると、いつもと変わらずにサンドイッチを頬張っている。これといって普段と変わらない様子。
頬を膨らませてチラッと俺と目が合うと、何かを思い出したように「あ!」と言って、鞄をゴソゴソし始めた。
「康介にお土産! ほれ、喜んで!」
少し大きめな紙袋を俺に手渡すと、またサンドイッチに向かってもぐもぐしてる。なんだか扱いが適当じゃね?
「……ありがとうございます」
袋を開けるなり目に飛び込んできたのは微妙に大きなシーサーのキーホルダー。
デカっ……
こんなのどこに付けたらいい?
その存在感抜群なシーサーの下には、沖縄と言えばコレ! という「ちんすこう」が入っていた。そしてその下には「ちんすこうショコラ」と「サーターアンダギー」と「ちんすこうセット」
「………… 」
どんだけちんすこう??
「修斗さん、たくさんありがとうございます……」
修斗さんの鞄を見てみると、同じシーサーのキーホルダーがぶら下がっていた。
「シーサー君ね、康介とおそろなんだよ。あとね、これ! すげえ美味しいの! 知ってた? ちんすこう、すげえの!」
あ〜
だからこんなに買ってきてくれたのね。
「今日康介んち行っていい? 一緒に食おうよ」
「はい、じゃあ今日は一緒に帰りましょ」
ご機嫌な修斗さんの笑顔を見ていたら、さっきのモヤモヤが薄れていく。
「でも、修斗さんちんすこう食べたことなかったんですね。これ有名なのに…… 」
俺がそう言うと、ウンウンと楽しそうに頷いた。
「そうなんだよ、俺知らなかったよ。塚っちゃんが教えてくれてね、試食したら美味いから感動した」
無邪気な笑顔で修斗さんがそう答える。
……塚っちゃん?
あ!
「修斗さん、塚っちゃんってこの人?」
俺のモヤモヤの原因の写メを修斗さんに見せると「そうだよ」と修斗さんは頷いた。
「ねぇ、何なの? この先輩……修斗さんとくっつき過ぎなんですけど!」
俺がムッとして修斗さんに訴えたら、修斗さんはキョトンとした顔をした。
「え? なに? 康介焼きもち?」
修斗さんに図星を刺されて、思わずカチンときてしまう。
そりゃそうでしょうよ、あんな写メ見せられたらさ! それ狙ってわざと送ったんじゃねえのかよ?
「焼きもち妬くだろ! だって何これ? さっき送ってくれた写メ、ほとんどこの先輩も写ってるし! ……ほら見てみ、竜も」
隣にいた竜に俺の携帯の画面を見せたら、修斗さん楽しそう! と言ってクスクスと笑った。
そうなんだよ。
すげえ可愛い顔して楽しそうにしてる修斗さんの隣で笑ってるこの人……
「嫌なんです! この先輩の修斗さんを見る目が……なんだろう? この人絶対修斗さんの事好きだ……」
そんな事わからないけどこれは女の……じゃない、男の勘だ。
でも、こんな事考えて思わずそのまま言ってしまった俺は、自分の醜い嫉妬心が恥ずかしくなってしまって廊下に逃げ出した。
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