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カラオケ
僕と周さんは自転車だったので、先に行くことにした。
「なんだよ周、チャリかよ。いいなぁ二人乗り。……俺らも今度二人乗りしようよ」
修斗さんが康介に強請ってた。
そんなにいいかな? 二人乗りって……
ひと足お先に目的のカラオケ店に到着し、受付を済ませてさっさと二人で室内に入った。
「竜太おいで……」
ソファに座った周さんが両手を広げる。
僕は吸い寄せられるように周さんの腕の中に抱かれに行った。
ソファに座ると周さんの顔が近づいてくる……
「あいつらが来る前に」
周さんに抱き寄せられ、柔らかな唇が重なった。
甘い甘いキス……
あ! でもここ、個室といっても監視カメラがあるはず……
「んっ! 周さん……だめ… 」
唇が離れ僕は周さんに訴えた。
でも周さんは全然僕の言うことなんか聞いちゃいない。ふわっと抱きしめてるくせに全然離れられない……力強すぎ。
「んっ!」
また唇が重なる……
周さんの舌が僕の中で蠢き、その手は髪の毛の中にスッと入っていやらしく撫でる。
ダメだよ、こんなの、好きなんだから抵抗できるわけがない……
周さんのからの優しい愛撫にうっとりしていると、メールの着信音が部屋に響いた。
「………… 」
んっ、 ダメだって…
周さんの手が僕の腰に降りてくる。
「あっ……周さん、やめて……ダメ…… 」
やっと唇が解放され、僕は周さんの手首を捕まえた。
「ほらー! やっぱり……先に行ったからイチャイチャ始めちゃってるかと思って気を利かせてメールしたのに! 何やってんの? エッチだなあ」
ドアが開き、修斗さんの声がする。
僕は周さんに半分押し倒された状態で顔を上げると、ドアの前の修斗さんと目が合った。
「メール? そんなの来てねぇぞ……」
「いや……周さん携帯鳴ってましたよ」
ゴソゴソとメールの確認をする周さん。
「まったく、竜太君も大変だね。いつも周ってこんななの? 発情期?」
修斗さんの言葉に恥ずかしくて顔が火照る。
康介も苦笑い。
「お見苦しいところをお見せしてすみません……」
僕はなんと言ったらいのかわからずそう言うと、周さんがプリプリ怒り始めてしまった。
「何言ってんだ? 見苦しくなんかねぇだろ。竜太は綺麗だぞ」
「………… 」
だから!
そういうことじゃないでしょ!
修斗さんも康介も爆笑してるし。
「周さん…… もう外では恥ずかしい事しないでください」
周さんのせいでどんどんおかしな方向に向かって行ってしまいそうなので、とりあえず修斗さんにマイクを渡して選曲を促した。
「ほら、カラオケしましょう!」
こうして僕らは二時間ほどカラオケを楽しんだ。
康介もあまり歌うのが好きじゃないのか修斗さんと周さんがほとんど歌っていた。
やっぱり二人とも歌が上手い。
康介と二人でたっぷりと聴き惚れてから、カラオケをお開きにして僕らは別れた。
「なんかダブルデートも楽しくていいですね」
自転車に乗り、周さんの背中に話しかける。
「そうだな……でもやっぱり俺は竜太と二人っきりの方がいいな……」
そう言うと、周さんは僕の手をキュッと握った。
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