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怒ってる

兄さん達主催のバレンタインライブに参加すると圭さんから言われてから、竜太に知られたくなくて俺は竜太を避けて過ごしてる。 昨日は帰りに下駄箱のとこから竜太に声をかけられたけど……聞こえないふりしてなんとかやり過ごした。でもすぐに電話がきて、竜太が少し怒ってるのが伝わって、正直焦り始めてる。 「多分バレそうな気もしなくもないし、そんな竜太君を避けるような事はすんなよ。またこじれるからな」 修斗がそう言ってたよな…… どうせバレる、か。 竜太に本当のことを言おうか迷っていたら、昼休みに竜太一人で俺らの教室までのこのこ来やがった。 見てると他の奴らに声かけられてんじゃん。 気安く竜太に話しかけんな! って、見ていて凄くイラついた。 廊下から教室を覗き込んでる竜太。どうせ俺の事を探しているんだろう。 そう思っていたら、俺じゃなくて修斗を呼んでるようだぅた。 なんだよ……なんで俺じゃなくて修斗なんだよ。 「ちょっと竜太君とこ行ってくるね…… 」 少し困惑しながら修斗が竜太のところに歩いてく。 修斗が、呼んでるの俺じゃないのか?って竜太に聞くも「はい、周さんは関係ないですから!」なんてあれ、わざと俺に聞こえるように言ったよな? なんだよ…… そんなに怒ることねーじゃん。 竜太はチラッと俺の事を一瞥して、修斗と二人でどこかに行ってしまった。 あからさまな竜太の態度に少し凹む。俺が悪いのなんてわかってるけど、でもそんなに怒ることねえじゃん。 冷たくされるとしんどいな…… しばらくして修斗が戻ってきた。 「竜太、怒ってた……よな? どうしよう……俺、あんなにわかりやすく竜太が怒ってるの初めてかも」 「うわっ! めっちゃ凹んでんじゃんウケる! まぁけど竜太君、確かにめっちゃ怒ってたよ」 修斗が笑って俺に言う。 なんだよ、修斗は余裕だな。修斗だって俺と同じで康介に黙ってるんだろ? 「なんだよ、康介は怒ってねぇのかよ。竜太があんなに怒ってんだ。康介も同じなんじゃねぇの?」 なんで俺ばっかり恋人に冷たくされなきゃなんねえんだ。 「いや、康介はいつも通りで怒ってなさそうなんだよね。康介はさ、アホみたいに鈍感だから気にしねぇんだよきっと。俺が避けてる事すらきっと気が付いてねえよ」 そう言ってまた修斗は笑った。 クッソ。やっぱりなんかムカつくな……康介は鈍感っていうより馬鹿なんだよ。 「あ!そうだ。'周さんが僕を無視するなら、僕だってもう周さんの事なんか知らないんだから!'…って伝えておいてください。って言ってたぞ」 修斗は竜太の声色を真似て楽しそうに体を揺らす。さっきからめちゃくちゃ楽しそうなのが本当にムカつく。 冗談じゃない! 俺ばっかり! 「なぁ〜、竜太に言っちゃダメかな? ……俺、竜太に無視されんの、もう耐えられねえ」 無視されてるって今の一瞬だろ? って修斗が笑う。 「別にライブの話しなくても、普通に相手してやればいいんじゃね? 後で竜太君に謝って来なよ。はい、それで解決 !」 ……そっか。それもそうだな。 俺は修斗に言われて、竜太にメールを入れておく。 『今日は一緒に帰ろうな』 ごめんな竜太。 お願いだから機嫌なおして。

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