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バレンタインデーの予定は

僕らは買い物も終え、帰り道を歩いていた。 先程の駅近辺に差し掛かり、ふと道の向こう側を見てみると今度は修斗さんの姿が見えた。 ……でも女の人と一緒。 康介はそんな修斗さんの姿を見て固まっている。 さっき周さんに話しかけていた女の人にも見えるけど…… ちゃんと見てなかったから、なんとも言えない。 なんだかとても親しげに、その女の人は修斗さんの手を引いて歩いて行ってしまった。 「康介? あれ誰だろうね……知ってる?」 恐る恐る康介に聞いてみると、キッと睨まれた。 「知るわけないでしょ!」 康介怒っちゃってる。 「明日、僕修斗さんに聞いてみるよ。そんな怒らないでさ……ね?」 「別に怒ってないし!」 それからは康介はずっとぷりぷりしたままだった。 次の日、学校で僕は周さんに聞きいこともあったので、二年生のフロアへ向かった。 ちょうど廊下で修斗さんと会ったので昨日の事も聞いてみた。 「昨日駅のそばで一緒にいた女の人は誰ですか? 」 僕が聞くと「見てたの?」と少し驚いた様子だったけど、笑ってお姉さんだと教えてくれた。 「あれ、俺の姉貴。姉ちゃん。荷物持ち手伝わされてたの」 夜のお仕事をしているお姉さんが大量に購入したチョコの荷物持ちに修斗さんは駆り出されたんだって。遠くからだったから全然わからなかった。 僕は昨日の康介の様子を修斗さんに伝えた。僕にはあんなこと言ってたのに、修斗さんと女の人が親しげにしているのを見た途端あんなに機嫌が悪くなってしまった。今だってきっと悶々としているはず。 「あれ? 康介俺の姉貴と会ったことなかったっけ?……あるだろ? 康介怒っちゃってるの? 可愛いね。後でご機嫌とっておくよ。ありがと竜太君。あ! そうそう昨日ね、周にも荷物持ち頼んだんだけどさ、あいつ途中でバイトだって言うから結局俺が全部持たされて大変だったんだよ」 それを聞いて、僕の方のモヤモヤも解決した。あれも修斗さんのお姉さんだったんだね。 周さんは教室にいるって修斗さんが教えてくれたので、急いで周さんの元へ向かった。 教室で寝ていた周さんを、近くにいた先輩に呼んで来てもらい、廊下で周さんに本題を話した。 「周さん、14日って空いてますか?」 僕が聞くと、バツの悪そうな顔をして周さんは頭を掻いた。 ? 「何か都合悪かったですか?」 「あ……悪い、その日はダメだ。うん、都合悪い……ごめんな」 ……なんか変! 「周さん? また僕に何かを隠してる?」 そう聞くと、案の定しどろもどろになった。 バレンタインデーなのに、都合悪くて何かを隠してる? 嫌な感じ! 「周さん、なんかヤダ! いいですもう! 知らない!」 僕はムッとして、帰ろうと後ろを向いたら慌てた周さんに腕を掴まれ止められた。 「ごめんて! 怒るなよ……わかった、話すから。ほんと怒らないで……」 こうして僕は周さんからバレンタインライブの話を聞かされた。 ライブがあるなら言ってくれればいいのに…… でも、女ばっかでいつもと違う雰囲気だから、僕たちには出来れば来てほしくないって言うのが本音らしい。 は? そんなの聞かされたら、尚更行かなきゃダメじゃん。 「康介と相談してきます」 そう言って、僕は教室に戻った。 教室で康介に昨日の女の人は修斗さんのお姉さんだった事を教えてあげると、途端にニコニコとご機嫌になる。 わかりやすい。 それとバレンタインライブの話。 「どうする? 行く?」 康介に聞くと、やっぱり気になるのか「そんなの行くに決まってる」って言うので、僕らは二人でバレンタインライブに行くことに決めた。

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