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プレゼント

僕と周さんはファミレスに寄って食事を済ませた。 周さんはお腹はすいてないって言っていただけに、ドリンクバーと軽いサラダしか頼まなかった。僕はサラダを突く周さんを見ながら、ハンバーグを口に運ぶ。 チラッとたまに目が合うのが恥ずかしい── 「……竜太、美味しい? ハンバーグなんて珍しいな」 そう…… 僕は本当はハンバーグなんて食べたくなかった。 いつどこでチョコをあげようかとぼんやり考えていたら、無意識にこれを頼んでしまったらしい。 自分で自分のボケっぷりに驚きながら、頑張ってハンバーグを食べてる僕…… 黙々と食べてる僕をジッと見つめてくる周さんにドキドキしてきてもう色々限界。 「周さん…… そんなに見ないでください。恥ずかしい」 「………… 」 食べているところを見られるのって、何でこんなに恥ずかしいんだろう。 「飯食ったらさ、二人きりになれるとこ、行こっか……」 周さんが突然小さな声でそんな事言うもんだから、ただでさえ恥ずかしかったのに一気に顔が熱くなってしまう。 「……は、はい」 なんとか返事をして、僕は残りのハンバーグを急いで口に詰め込んだ。 周さんに見つめられながら、僕は食事を終わらせ二人でファミレスを後にする。 二人切りになれるところって、前に行ったラブホテルかな? あ、そこならチョコ渡せるかも。 黙ってスタスタと歩く周さんに置いていかれないように、少し後ろを追いかけるように僕は歩く。 少し歩くと、やっぱりラブホテルが見えてきた。 「周さん、お泊まり?」 僕は周さんの服の裾を握り、聞いてみる。 「……嫌か?」 振り返って心配そうな顔をする周さんに、慌てて首を振り「違います」と伝えた。 「明日休みだし、ずっと一緒にいたかったから嬉しいです」 素直にそう言うと、周さんは安心したように笑ってくれた。 チェックインを済ませ、部屋に入ると周さんはすぐに僕を抱きしめてくれる。 「竜太ー、やっとギュってできたっ」 「ふふっ、周さん……可笑しい」 僕も周さんの背中に腕を回してギュッと力を込める。 「ライブお疲れ様でした。見られなくて残念だったけど……周さん、たくさんプレゼント貰っててなんか焼きもち妬いちゃうけど……カッコよかったです」 今……渡しちゃおうかな? 「ちょっと待ってて、周さん」 僕は周さんから離れると、バッグからプレゼントとチョコを取り出した。 「あの……僕は男だけど、今日はバレンタインだから……周さんの事が好きだから。チョコ、貰ってくれますか?」 やだ、やっぱり改まって言うと恥ずかしい! ずいっと前に突き出した僕のチョコとプレゼントを、周さんは黙って受けとってくれた。 「……竜太が俺に? チョコ?」 周さんはしげしげとチョコを眺めて僕を見た。 顔が熱い…… 僕は周さんを見つめて頷いた。 「超嬉しいんだけど! ありがとう竜太! ……竜太から俺に? チョコ! やったー!」 思った以上に周さんが喜んでくれているのを見て嬉しくなる。こんなに驚いてくれるなんてびっくりだった。 「あと、これプレゼント……」 チョコで喜んじゃってる周さんは、もうひとつの袋に気付かずはしゃいでる。 「は? まだあんのか? マジか!」 周さんはもう一つの袋もカサカサと開け、中身を見たとたんゲラゲラと笑った。 「なんだよこれ! 竜太好きだなぁ。またパンツかよ」 そう、また僕は周さんにパンツをプレゼントした。 だって、かっこいいんだもん。 でもね、もう一枚あるんだ。 「あれ? まだ入ってる……今回はパンツ二枚?」 中からもう一枚取り出した周さんは絶句した。 「バレンタインをね、調べてたらわかったんです。今日って褌の日でもあるんだって。だからこれ……」 「フンドシ……」 紺色の無地の六尺褌。 唖然として周さんが褌を見つめてる。 「あ、ありがとな。今度着けてみるよ。今日は勘弁…… 」 ふふ、喜んでもらえた。周さん、褌姿も絶対かっこいいよね。

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