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ほろ酔いチョコレート

竜太は自分の顔を俺の胸に埋めながらすりすりしてる。 なんだこれ……可愛すぎるだろ。 なんかモゴモゴ言ってるし…… ……? さっきから何喋ってんだろう? 「竜太?」 「あまねしゃん……好き、好き、しゅき……ふふふ」 「………… 」 俺の事が好きってひたすら呟いてた。 「ちょい? 竜太、風呂行く? どうする?」 しがみ付いて離れそうにない竜太に俺は聞く。まさか酔っ払ってる? 俺のチョコケーキ食って? 酔っ払うほど酒入れたっけか? でもこれは間違いなく酔っ払っている。 竜太は俺が言ったことが分かってんのか、そのままの姿勢でコクコクと頷いている。俺は腰にしがみ付く竜太と一緒に風呂場へなんとか移動して、湯船に湯を張るために蛇口をひねった。 再びベッドに戻ると顔をあげた竜太が俺の上に跨ってきて、頬やら額やら俺の顔中キスを降らせる。 なんなんだ? 竜太、どうしちゃったんだよ…… 積極的な竜太……嫌じゃないし、むしろ嬉しいけどさ。 「竜太? ちょっとちゃんと顔見せて…… 」 俺に跨り見下ろしてる竜太の両頬を手で挟み込みひき寄せる。「あ…」って小さく竜太は声を上げると体を強張らせ、引き寄せられまいと抵抗してきた。 「なんれすか? 周さん……!」 「竜太、俺のカップケーキで……もしかして酔った?」 俺が聞くと、小刻みに首をブンブンと振り否定する竜太。いやいやどう見たって酔ってるだろ。 「酔ってません! ……ダイジョーブれす! おいしかったですっ!」 深妙な面持ちで呂律が可笑しいもんだから、思わず吹き出してしまった。 俺が笑ったことで気を悪くしたのか、竜太は少しプウッと頬を膨らませて怒っている。 竜太、俺に気を使ってくれてんだな…… 俺、ブランデーどんだけ入れればいいかわかんなくて、多分たくさん入れちまったんだ…… それなのに、俺をがっかりさせまいと無理して食ってくれたんだ。 ……優しい。 「竜太……ごめんな、ありがとう」 ぎゅっと抱きしめると、「あまねしゃん……」って頼りない声を出して竜太も抱きしめてくれた。 とりあえず、自分を見失うほどには酔ってないみたいだから大丈夫かな? 「一緒に風呂入ろっか?」 「………… 」 ちょっとの沈黙……なんだこれ? 「えぇ? だめです! 恥ずかしい。でも、いいですよ。一緒に入りましょ。 あまねしゃん……泡泡して洗ってくらさい。ふふ…… 」 「………… 」 普段の恥ずかしがり屋は残りつつ、酔っ払ってるお陰で少しおかしくなってるらしい。 なんだかこんな竜太も可愛くて堪らん。 あ、そうだ! 「竜太? 足どうすんだ?」 もうスムーズに歩けているけど竜太の足にはまだギプスが付いている。 「んふ……専用のカバーね、持ってきたんでーす。あまねさんとお泊まりになってもダイジョーブなように。ふふふ… 」 いそいそとバッグから袋を取り出し、中からカバーを出す竜太。 しかもその後、ベッドに腰掛けたまま竜太はその足をピーンと俺に向けて伸ばしてきた。 カバーをヒラヒラさせながら「はい周さん、足に付けてください」と、俺を見つめてにっこりと微笑んだ。 ちょっと……なんだよ俺がやんの? 戸惑ってると、竜太は足を俺の方へ向けたまま甘えた声を出す。 「あまねさん……はやくぅ」 なんだよ、可愛いなクソッ! しょうがないから俺は竜太の前に跪き、丁寧に足にカバーを着けてやった。

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