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目的は?
「………… 」
「凄〜い! 本当にこれ美味しい! ……竜太君も頼まなくてよかったの?」
目の前でプリンアラモードをつつきながら、凪沙はニコニコと僕に話しかける。
「そんな物欲しそうな顔したってあげないぞ 」
「……いらないです」
この人は何で僕を誘ったんだろう?
一体何がしたいんだろう
僕は頼んだカフェオレをひと口啜り、凪沙を見る。
パクッとサクランボを口に放り込んだ凪沙と目が合った。
「……なに?」
「いや……なに? じゃなくて、なんで僕を誘ったんですか? 何か用があるんじゃないんですか?」
目をぱちくりして僕を見つめたまま、凪沙は少しの間 何かを考えてる風な顔をする。
「んん、まだいいや。竜太君、もう少しだけ付き合ってよ。この後買い物に行きたいんだよね。ね? お願い」
……まだいいや、って何だよ。
「前に会った時ね、仲良くなりたいなって思ったの。まさかまた会えると思ってなかったけどね。だから運命感じちゃう! 」
あいにく僕は何にも感じない。寧ろあなたとは会いたくなかった。
「はぁ……そうですか」
適当に返事をして、僕はまたカフェオレを啜る。
凪沙はプリンアラモードに乗っていたメロンだけ残していたから「メロンは嫌いなの?」と聞いてみた。
「うん、メロンって臭いんだもん。あたしね、好き嫌い多くてあっくんにもよく怒られた」
あっくん……
ああ、周さんのことか。
フォークでそのメロンを刺し、不意にそれを僕の顔の前に向けた。
「はい、残すの悪いから……あげる」
「……いらないです」
初対面に近い人にこんなに馴れ馴れしく接する人を見るのは初めてかもしれない。
変な人。
凪沙がプリンアラモードを食べ終えるのを待ち、会計を済ませて店を出る。
「あたしが誘ったんだから、もちろん奢るよ」
そう言って、凪沙は男らしく会計をすませてた。
今度は凪沙が行きたいと言っていた服屋へ向かう。
なんで僕はまだ凪沙と一緒にいるんだろう……
再会した瞬間に周さんの顔が浮かんで、凪沙とは関わっちゃいけないって頭の中で警笛が鳴ったはずなのに。
「………… 」
そう、それだよ。
凪沙がたまにふっと見せる、その寂しそうな顔。
それが気になってるんだ僕。
明るくてうるさいくらい元気なのに、何なんだろう、言いたいことを言い出せないでいるようなそんな感じ。
凄く気になる……
ここまで一緒にいて、凪沙は馴れ馴れしいと思うくらいで、別に僕に危害を加えそうにも見えなかった。
多分、本当に僕に何か言いたいことがあるんだろう。
そんな風に感じていたから、凪沙が話せるまで一緒にいようと僕は思った。
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