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心配

学校で周さんと会ったけど凪沙の話はしなかった。 やっぱり少し迷ったんだけど、一緒にいて何も危険な感じもしなかったし、凪沙の何か言いたげなあの表情がまだ少し気になるし…… でも僕からはもう連絡は取らない。 会う事もないから言わなくてもいいよね……と思ったから。 昼休み、いつものように周さんと修斗さん、康介と一緒に過ごす。 「ねえ、竜太君どうかした? なんか元気ないみたいだけど……」 修斗さんが僕の顔をジッと見る。ちょっと凪沙のことを考えていた。別に元気がないわけじゃないけど、でも修斗さんってこういう事に凄く鋭い。ドキッとしてしまう。 「なにもないですよ。心配ありがとうございます」 そう言うと、周さんも僕を見ながら心配そうに顔を近づけた。 「大丈夫か? 昼飯……足りなかったか?」 「………… 」 周さんは周さんらしいや。 「いえ、お腹いっぱい。大丈夫です」 康介にチラッと見られたけど知らんぷりしてそのまま過ごした。 昼休みも終わり教室に戻ると志音が僕を見つけて歩いてくる。僕の机の前の席に座ると顔を寄せて少し声のトーンを落として聞いてきた。 「昨日はあれからどうしたの? 可愛い子だったよね? 竜太君に女の子の知り合いがいたなんて意外だったよ」 「………… 」 僕たちの様子を見て康介が変な顔をして僕を睨む。 「なに? 竜、女の子ってどういう事?」 そうだよね。康介は僕に女の子の友達なんていないことはわかってるんだ。 「ほら、前に周さんと修斗さんの同級生だって言ってた凪沙さん、デート中に会ったでしょ?……あ、康介は遭遇してなかったっけ? えっと、その人とたまたま昨日会ったんだよ」 凪沙に周さんには内緒に、と言われたけど、他の人なら別に話しても差し支えないよね。 少し首を傾げて康介が僕を見る。 そして何かを思い出したのか、目を丸くして話し出した。 「ちょっと待てよ。その人ってさ、関わるとロクなことないって……俺は出くわさなくて済んだけど、絶対に会わせたくなかったからよかったって修斗さんが言ってた人じゃん! は? 二人で会ってたのか? 大丈夫か? いやダメだよ! いやいやいや……マズイって!」 康介は修斗さんから聞いていたらしく、酷く慌てて僕のことを心配してくれた。 「……うん、あの時周さんも凄い警戒して怒ってたけど……」 僕がそう言うと、何も知らなかった志音も驚く。 「なに? そんなにヤバい子だったの? 竜太君やめてよ、なんでそんな子に一人でついてったの? 俺知ってたら絶対行かせなかったのに……」 志音まで心配そうな顔になってしまった。 「いや、なんか普通だったし大丈夫そうなんだけど……何か言いたそうだったんだよね。元気ないようにも見えたしちょっと気になっちゃって。でも、僕から連絡することもしないし、もう会うつもりもないから心配ないよ。ごめんね」 僕は二人に、心配かけてしまうから周さん達には黙っていてくれるようお願いした。 「竜は優しくてボンヤリだから心配だよ。気をつけろよほんと。竜、一人でいんなよ。俺とか志音とか、誰でもいいから一緒にいろよな!」 康介に念を押され、僕は何度も頷いた。 でも僕はそんなにボンヤリはしてないからね!

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