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本当にヤバいのは
竜が俺に話してくれた事、驚いた……
凪沙って修斗さんが言ってた女だよな?
関わっちゃいけない奴なのに、なんで竜は一人でついて行ったんだろう。以前の竜だったら絶対一人でそんな事しようなんて思わなかったはず。
相手は女の子だから大丈夫?
いや、修斗さんや周さんまでめちゃくちゃ警戒してるんだぞ? 俺だってそんなの知ってたら警戒して会ったりなんかしない。
周さんと付き合ってから、竜は変わった。
竜の本来持ってるいいところがどんどん際立ってきている。
竜は優しいから……
きっと凪沙の事も気になってしまってるんだろう。
周さんとまた仲良くなれるように協力しろって、もし俺だったら問答無用で即刻断る。
そんなの悩むまでもない。
顔色悪くして悩んでる竜を見てるのが辛かった。
学校に到着してすぐに竜は保健室へ逃げるように行ってしまった。
でも保健室から戻った竜は、少しスッキリとした顔をしていて安心した。
高坂先生が話を聞いてくれたんだろうな。
凪沙にちゃんと断りのメールを入れたって、俺に報告してくれた。
よかったって思ったけど、でもやっぱり周さんには話さないでほしいなんて竜は言う。
……変なところ頑固なんだ。
何かあってからじゃ遅いんだよ。
でももう凪沙とは関わることもないだろうから、大丈夫だよね?
周さんとはこんな時に限ってバイトが忙しくなってるみたいで全然会えない。竜ですらメールだけのやりとりみたいだ。
竜は言わないでって言うけど、やっぱり俺は心配だよ。
竜は今日は部活に顔を出すって言ってたから、俺は一緒に帰ろうと思って部活が終わるのを待つつもりでいた。
竜には内緒だけど、修斗さんだけにはこの事を相談しようと思って、放課後、竜が部活に行っている間に修斗さんのいる教室に向かった。
……まさか竜一人、先に帰っちゃうとは思わなかったから。
修斗さんの教室に行くと、帰ろうと支度をしている修斗さんがいた。
廊下から声を出して呼ぶと、堪らないくらい可愛い笑顔で俺の方へ振り向いた。
「康介、迎えに来てくれたの?」
嬉しそうな修斗さんに俺まで笑顔になってしまう。
「いや、そうなんですけど……ちょっと相談があって」
「なに? 康介が真面目な顔してるよ、おかしいねえ」
「……いや、結構真面目な話なんで茶化さないでください」
いつもの調子で明るく元気な修斗さんが、俺の様子を見てちょっと真剣な顔つきになった。
もうほとんど人のいない教室で、修斗さんに今まで竜から聞いていた凪沙との事を話した。
修斗さんは、俺の話を聞きながらどんどん怖い顔になっていく。
そして話が終わったところで呟いた。
「あのな、本当にヤバいのは凪沙よりも兄貴なんだよ……」
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