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拘束

口が塞がってて喋れないし、呼吸がしにくい。 恐怖しかない── やだ! 本当に動けない、何するの? 「……? ……! ……ゔっ……ゔっ……!」 航輝と海成は僕の両足と上半身を抱えて持ち上げ、奥の部屋へと移動を始める。 「ほら、暴れんなって。足も邪魔だな……」 狭い室内、すぐに奥の部屋へ辿り着きその部屋へ入ると、そこには少し大きめのベッドがあった。 僕はあっさりそのベッドへ投げと落とされ、離れた隙に逃げようとしたけどすぐに海成が馬乗りになり、また動けなくなってしまった。 「……! ……ゔー! ゔっ……ゔぐっ!」 できる限り暴れたけれどなんの抵抗にもなっていない。拘束された腕をひょいっと持ち上げられ、ベッドのヘッドボードの何処かに固定されてしまった。 「そんな顔すんなよ〜。竜太君、よく見るとさ、凄く綺麗な顔してんじゃん。何も凪沙の狙ってる男じゃなくたって、いくらでも他に男はいんだろ? 凪沙の男はやめとけって……」 航輝が僕の髪を弄りながら言う。 ふざけんな! 周さん以上にいい男なんて他にはいないよ! 僕は周さんじゃなきゃダメなんだ! それに、周さんだって僕じゃなきゃダメなんだから! 「……なに? その目。生意気に俺らの事睨んでるわけ? 竜太君ってさ、見かけによらず気が強いよね」 「なんかさぁ、すげぇソソる。俺、こういう奴好きだよ……」 海成が僕の上にのしかかり、抱きつきながら首筋にキスをしてくる。 ……どうしよう! 全く動けないし逃げられないじゃん、やだ! 離れて……僕に触らないで…… 僕は必死に体を動かすけど、どうにもならない。 口に咥えさせられてるこの玉のせいで声も出せないし、開きっぱなしの口角からは勝手に涎が出てきてしまう。 周さん以外の人に体を弄られて情けなくて悔しくて… 泣きたくなってくる。 なんでこんな事になってるんだよ…… 「あれ? 竜太君どうしたの? 泣きそう? ねえ、泣いちゃうの?」 僕の横に座ってる航輝がニコニコしながら顔を近づけてくる。 「……ほら、涎出ちゃってる。恥ずかしいねぇ。これ外してあげようか? ……ふふっ、竜太君可愛い」 航輝は僕の唇を指で拭い、頬にキスをした。 その間、海成は僕の服の裾を捲りあげ肌に直接舌を這わせてきた。 「んんー!ゔっ……ゔゔっ!……ん!」 航輝は僕の頬を撫でながら見つめ、溢れた涙をペロリと舐めた。 やだよ……まただ… 周さん……ごめんね……

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