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大好きな匂い

目隠しをされた僕は何をされるのかわからなくて、もう恐怖しかなかった。 「 んー! ゔっー! ゔっ! ゔゔっ!」 無駄だとわかっていても、何とか声を出そうと必死に叫ぶ。 「竜太君うるさい!……優しくするからって言ってんじゃん!」 イラついた様な声で海成が僕に言い、胸ぐらを掴まれた。 「……んっ! 」 次の瞬間、いきなり右頬に熱い衝撃が走った。 なに……? 次第に頬がジンジンと痛くなっていく。そこで初めて、さっきの凪沙みたいに叩かれたのだとわかった。 「おい! 海成叩くなよ! 竜太君が怖がるだろーが!」 すぐ真横で航輝の声がする。熱くジンジンしている僕の頬をひんやりした手が摩ってくれた。 きっとこの手は航輝…… 「だって、往生際が悪いじゃんか。うるさくされると萎えるんだよ!」 ……!? 今度は突然、耳にヌルッとした感触がしてびっくりした。 「竜太君、海成もああ言ってるし、静かにしてれば乱暴にはしないから……ね? 痛いのは嫌だろ?」 耳を舐めながら優しく航輝が囁く。 優しい声で囁かれてるのに、全くと言っていいほど感情のわからないその囁きに、僕は恐怖で何度も強く頷いた。 見えない恐怖。 何をされるのかわからない恐怖。 痛いのは嫌だ。抵抗すればするほど相手は逆上する。言うことを聞くしか僕に出来ることはない…… その後は、僕は出来るだけ声を出さないようにして恐怖を誤魔化し早くこの場から解放されることを願った。 体が震えてしょうがない。 服をスルスルと捲り上げられ、ズボンのベルトにも手がかかる。 「……可愛い。震えてる。怖くないよ」 乳首まで舐められながら、カチャカチャとベルトの外れる音が聞こえ、少しずつズボンと下着をずらされていった。 震えと涙が止まらない── 「ゔぅ! …… はっ……」 多分航輝だろうか。航輝が口に入っている変な玉を外してくれた。 「もう騒がないよね? 騒いだらもっと酷いからね。涎で汚れちゃった。ごめんね……」 航輝が優しくそう言いながら、僕の口のまわりにキスをしていく。手で僕の涎を拭いながら、軽く唇にキスをした。 一気に嫌悪感がこみ上げる。 「お願い……もう嫌だ…… 」 「嫌だとか言わないでよ、その可愛い口も楽しませて……」 変な事を言いながら、航輝が僕の口の中に指をねじ込んでくる。 「はぁ……やらっ……やめれっ……指、嫌あ……ふぅっ……んっ 」 「竜太君。ほんと可愛い……」 ……? ふと玄関の方で音が聞こえた。 視界が遮られてるせいか、音が鮮明に聞こえる気がする。 静かに玄関のドアが開く音…… ドスドスと、きっと靴のままだろうその足音がこの部屋に近づいてくる。 そしてドアが開き部屋に誰かが入ってきた。 ……あ! すぐにわかった。 この匂い……僕の大好きな匂い。 「……周さんっ! 」

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