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号泣
部屋に入ると周さんは黙って風呂場へいき、湯船に湯を張る。
タオルを取り出しそれを軽く濡らすと、僕の顔に押し付けてきてゴシゴシと擦った。
「うっ!……周さん? ちょっと……痛いっ…… や、やめて…… 」
少し乱暴に顔を擦られ、僕は抵抗して腕を掴む。
タオルを退かし、周さんの顔を見ると目に涙が溜まっていた。
「竜太……もういいぞ。お前、俺の前では我慢すんな。竜太らしくねぇ……」
「………… 」
その周さんのひと言で、僕の我慢は一気に限界にきてしまった。
周さん、わかってたんだ。
ごめんなさい──
こんな事になってしまって、周さんが悲しむのが嫌だから……少しでも周さんが辛くないように、僕は大丈夫、大したことないよ……って。
周さんが来てから僕はずっと泣くのを我慢していた。
僕が泣いていたら、ますます周さんが辛くなる……
周さん悲しまないで……怒らないで……僕は大丈夫だから。
こんなの大したことじゃない。
でも……
「周さん……怖かった……怖かったよ……怖かった!……周さん……怖かったよ!……来て……くれて……よかった…… ゔぇぇん… 」
僕は周さんの胸にしがみつき、子供のように泣きじゃくってしまった。
堰を切ったように溢れてくる涙を止められなかった。拘束され、目隠しをされた恐怖を思い出して、体の震えも止まらない。
僕は周さんにしがみつき、顔をその胸に埋める。
周さんはそんな僕を、黙ってずっと抱きしめてくれていた。
周さんの大きな手が僕の頭を撫でる。
周さんの優しい手が僕の背中を摩ってくれる。
大好きな周さんに僕の全部をすっぽりと包んでもらいたくて、ぎゅうぎゅうと周さんにしがみつき、僕はいつまでも声を上げて泣いてしまっていた。
どれくらい泣いていたんだろう。
周さんは優しくただ抱きしめてくれ、段々と気持ちが落ち着いてくる。
あ……
周さんの胸が僕の涙でぐちょぐちょだ……
ちょっと恥ずかしくなってきて、僕は涙でベトベトな周さんの胸を指先で撫でた。
「……竜太? 少しは落ち着いたか?」
僕の頭にキスを落としながら、周さんが聞いてくれる。
「はい。すみません……僕、バカみたいに泣いてしまって…… 」
何となく顔を上げられない。
「そんなの、いちいち謝んな。風呂一緒に入ろ…」
周さんに言われて僕は小さく頷いた。
周さんに肩を抱かれるようにして……というか、僕が周さんから離れたくなくて腰にしがみついたまま、バスルームへと歩く。
周さんは何も言わず、僕の服を脱がせてくれて、シャワーでお互いの体を流した。
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