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キス……

周さんはとても丁寧に僕の体を洗ってくれた。 真剣な顔をして隅々まで泡で撫で回す周さんにドキドキしてくる。 そんな僕にはお構いなしで、周さんはシャワーで泡を流し、そして二人で湯船に浸かった。 いつものように、僕は周さんに寄りかかりゆったりと座る。 段々と体も温まり、周さんに後ろから抱かれて心から安心してくる。 安心し過ぎて眠気すら出てくる。 思わず呆けっとしていると、周さんは僕のうなじに顔をつけるようにして話し出した。 「なぁ、竜太……今日はさ、俺竜太とずっと一緒にいたいんだけど……泊まれる?」 遠慮がちに言うの、何でだろう。 「もちろんいいですよ。僕も今日は周さんと一緒にいたいです……」 周さんを振り返りそう言うと、少しだけ周さんは笑顔を見せてくれ僕は嬉しくなった。 そのまま周さんの瞳を見つめる。 ……キス、してほしい。僕まだキス、されてない。 あの場から助け出してもらってから、まだ周さんとキスしてない。 嫌なのかな。 僕、周さん以外の人にキスされたんだ。 他の人が触れた唇、嫌なのかも…… そう思ったらまた目頭が熱くなってきてしまい、慌てて僕はお湯を手で掬い顔に浴びせる。 何度もパシャパシャと顔を洗うようにしていると、周さんに手を掴まれ 何度も何してるんだ? と聞かれてしまった。 「竜太? こっち向いて……」 僕は恐る恐る顔を周さんに向けると、顔を覗き込まれてしまい思わず目を伏せる。するとおもむろに周さんの手が僕の右頬に触れた。 「赤くなってる……」 そこ… 海成に叩かれた所だ。 「痛いか?」 頬を優しく摩りながら周さんが聞いてくる。 僕は左右に首を振った。 「大丈夫です。もう痛くないです」 周さんの手が僕の頬を摩りながら、もう片方の手が僕の頭を押さえた。 僕は頭を固定されたまま、周さんに強引に唇を奪われた。 突然の事に驚いてしまった。 周さんとキスなんて、何回も何回もしているのに…… こんなにもドキドキしてしまうなんて。心臓の音が聞こえてきそうで恥ずかしい。 ゆっくりと周さんの舌が僕の中を舐る。周さんに口内を舐られながら僕は色んな感情が渦巻き始めてしまい、また涙が溢れ出してしまった。 そんな僕を見て慌てて周さんの唇が僕から離れていく。 「あ、ごめんな。竜太……こっち向いて…」 そう言って周さんは僕の脇に手を入れ、体の向きを変えようと持ち上げた。でも僕はもう周さんに涙を見せたくなくて、俯きながら周さんの方へと体を向けた。 向い合って座り、周さんは僕の頬をそっと撫で、額に軽くキスをする。そしてそのまま抱きしめてくれた。 「気付いてやれなくてごめんな。助けに行くの……遅くなってごめんな……竜太、ごめんな……」 ……周さん 「周さん、謝らないでください。僕は周さんがいるから大丈夫です。何があっても周さんがいてくれるから……こうやって抱きしめてくれるから……大丈夫です」 僕もギュッと周さんを抱きしめ、顔を上げて周さんを見る。 「周さん……笑ってください」 ずっと泣きそうな顔でいるなんて周さんらしくない。 僕がそう言うと、周さんはやっと笑顔になってくれた。 「竜太もな。そんでもって、のぼせそうだからもう出るか……」 二人でクスクスと笑いながら、お風呂から出た。 お風呂から出てからも、二人でベッドで横になりエッチな事をするわけでもなく周さんはずっと僕を包んで抱きしめてくれていた。 僕に気を使ってくれてるんだろうな…… 別に周さんにエッチな事をされても構わなかったけど、周さんの胸の中があまりにも居心地が良くて、僕はすぐに眠ってしまった。

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