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竜太ごめんな……

修斗から電話があった── 珍しく慌てた感じの修斗に嫌な予感がした。 二度と会いたくなかった奴らに竜太が捕まってるって、なんの冗談だよ! 凪沙に会った時点で警戒していたのに、なんでこんな事になってんだ。 前に修斗を軟禁してたあのアパート。 修斗だって思い出したくもねえだろうに…… 竜太と連絡がつかなくなってからだいぶ経つと聞かされた。 頼むから間に合ってくれよ…… バイトに向かう途中だったから、ここからなら走ればすぐだった。 アパートに着くと、玄関は鍵が開いてた。そのまま入ると奥の部屋から声がする。 ドアを開けた俺の目の前に見えたのは、目隠しをされ手足を拘束された竜太に覆いかぶさるようにして下半身に顔を埋めてる海成と、竜太の頬にキスをしている航輝……同じ顔だからどっちがどっちだかわからないけど…… もうここから先は正直よく覚えてない。 修斗に止められ、竜太に抱きつかれてるのに気がついてやっと我に返った。 竜太……が俺を呼んでる。 でも、竜太… 俺の顔見て怯えた表情をした。 俺が怖がらせてどうすんだよ。散々な目にあって怖い思いしてんのに、俺が竜太を怖がらせてどうすんだ! 俺にしがみつきながら「大丈夫」と言う竜太。ぎこちなく笑顔まで見せて「ごめんなさい」と謝る竜太。 俺の顔色伺って、涙すら見せずに俺のことを気遣っていた。 無理しているのは明らかだった。 早く二人きりになれる所へ連れていって抱きしめてやりたい。 我慢してるのを吐き出させてやりたい…… ホテルに着いたら、案の定泣くのを我慢していた竜太。 俺を気遣いいじらしい姿に堪らなくなる。 俺の前ではそんな我慢はしなくてもいいんだ。 でも、俺のせいで竜太をこんな目にあわせちまった。 竜太が謝ることなんてこれっぽっちもないのに。 何べん謝っても謝り足りない…… 本当にごめんな。 俺は泣きじゃくる竜太を抱きしめてやることしか出来ず、胸が締め付けられる思いだった。 怖かっただろうな。 ごめん、ごめん……竜太……ごめんな。 しばらくの間、竜太が落ち着くまで抱きしめていた。 そして二人で風呂に入る。 体には特に傷なんかもなく、少しだけホッとした。 でもよく見たら片方の頬が赤くなっている。 ……叩かれたんだ。 他にも痛い事されてないか? 何された? 竜太に色々聞きたかったけど、嫌な事を振り返させたくないから我慢する。 でも、頬にキスをしていた航輝の姿を思い出し、きっとキスもされてるんだろうと思ったら怒りが湧き上がってきた。 竜太が悪いわけじゃないのに、 何で……何で…… 怒りの感情が沸き上がりながら、気付いたら俺は竜太の頭を押さえつけ、強引にキスをしていた。 竜太の吐息が洩れ、ふと顔を見ると涙が溢れていて俺はハッとする。 あぁ……また泣かせちまった。 「あ、ごめんな。竜太……こっち向いて 」 後ろから抱き抱えてる竜太を自分の方へ向かせると、少しだけ俯き加減の竜太の額にキスをした。 そして優しく抱きしめる…… 「気付いてやれなくてごめんな。助けに行くの……遅くなってごめんな……竜太、ごめんな……」 もう怖がらないで…… ごめんな、早く嫌な事忘れてくれ。 心の中でも俺は何度も竜太に謝った。 そんな俺に竜太は笑いながら言ってくれた。 「周さん、謝らないでください。僕は周さんがいるから大丈夫です。何があっても周さんがいてくれるから……こうやって抱きしめてくれるから……大丈夫です」 やべぇ……泣きそうになる。 「周さん……笑ってください」 竜太の優しさに救われる。 ありがとうな、竜太── 二人で泣き笑いしながら風呂から出ると、すぐにベッドで横になった。 竜太を抱きしめてやると、なんか安心したように目を瞑るからそのまま竜太を寝かせてやることにして俺も目を瞑った。 結局俺らは朝まで抱き合ったまま、ぐっすりと眠った。

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