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竜太の心配事
高校に入学して、もうじき三学期も終わる。
ついこの間高校に入学したばかりだと思ってたのに……一年なんてあっという間だ。
僕にとってこの一年は凄い変化の日々だった。
初めての事だらけ……
驚きの連続……
高校に入学し、僕は初めて他人に興味を持った。
そして初めて恋をした──
色んな事があったな。
周さんと出会えた事で、僕の世界は物凄く広がった。今まで知らなかった事をたくさん知る事が出来た。
周さんと出会えて本当に良かった。
人と関わる事の楽しさを知った。
人を愛する事を知った。
そして愛する人に愛される喜びを知った。
僕は最高に幸せものだ。
それなのに……
その最愛の人、周さんが最近全然元気がない。
どうしたんだろう?
何日か落ち込んだ雰囲気だった周さん。それがとうとう昨日から学校に来なくなってしまった。
電話をしてもうわの空……
メールに至っては返信すら来ない。
どうしたの?
……心配だよ。
教室で康介とも話していた。
「竜、周さんどうしたの? 最近変じゃない? 今までこんなになった事あったっけ?」
「……うん、多分無いと思う」
確か僕が周さんの誕生日の準備で内緒にしていた時もナイーブになってしまった事があったけど、ここまで酷くなかったはず。
それも康介に話すと、思い出したらしく大きく頷いた。
「そうだ! あの時、周さん大変だったんぞ。あの時も酷かったわ……竜は知らないと思うけどもう憔悴しきっちゃっててさ……あ、今の周さんと似てるな……うん、あの時もあんな感じだった……」
記憶を辿るように康介が難しい顔をしてそう話す。
「どうしたんだろう……」
やっぱり心配だよ。
僕は放課後に二年生のフロアへ行き、修斗さんに聞いてみることにした。
康介は用事があるとかで、さっさと帰ってしまい僕一人。
修斗さんの教室には数人、帰宅の準備をしている人が見える。廊下から覗いているとすぐに修斗さんが気がついてくれた。
「あれ? 竜太君、どうしたの〜?」
「あの……周さんのことで」
修斗さんは、「あぁ…」と呟いて僕の方へと来てくれた。
「竜太君も心配だよね? 昨日も今日もサボってんだよ……多分家にいると思うから行ってやって。それで、お前が落ち込んでどうすんだよ! って伝えておいてよ」
修斗さんは何か心当たりがあるようだったけど、ちゃんとは教えてくれなかった。
でも、やっぱり周さん、何かが原因で落ち込んでるんだ。
僕はそのまままっすぐ周さんのアパートに向かった。
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