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第2話
学校の授業は好きでもなく嫌いでもなく……
教科によってムラがある感じだけど、生徒の中では真面目に授業を受けている方だと思う。
輪の中群衆の中にいても、僕の容姿が目立つのは自覚しているので、マイナス面で目立つことは極力控えるように気にしている。
でもそう心がけていてもどうにもならないことはあるわけで、特に異性同性からのアプローチは少なくないからその辺は密かに悩みだったりする。
中学の時に女子があまりにも煩くて高校は男子校を選択したけれど、周囲からの視線は変わらずだった。
キャーキャーされない分ましだけど、男子から力任せに迫られたら敵わないことに気がついたのは入学後……
だから一年の時は回避するのが色々大変だった……
好きでもない奴から想いを伝えられても、嬉しくもなんともない。
友達にそれを言ったら贅沢な悩みだと言われた。
告られることには慣れっこだしそれに対しての冷やかしもあるけれど、それにも上手く対応できるようになった。
美術の授業は好きだ。
スケッチブックに鉛筆で幾つもの線を走らせていく。
たまに先生からのアドバイスやクラスメイトの話声に耳を傾けながら集中し描くひと時は楽しい。
それに美術のおばさん先生は僕を性的な目で見ないし……先生の子供はもう大学生だっていうから息子程度の扱いだ。
学校の先生の中には、明らかに僕のことをヤラシイ目で見る奴がいるから面倒くさい。
さっきのあいつもそうだったみたいで、やれやれと溜息を小さく吐いた。
28歳って言ってたけどタイプじゃないなぁ……髪の毛はもっと柔らかい方が好みだ。
美術室の独特の匂いは油絵の画材だろうか少し鼻につくけれど、なんとなく落ち着く香りだと思う。
「宮ノ内くんデッサンうまいな」
「そう?」
隣に座っている奴からお褒めの言葉をいただいたけど、ふわりとそいつから柔軟剤の匂いが鼻についた。
……うわっ!くっさ甘い……匂い濃過ぎだろ。
本人はこれ気がつかないのか?
よくもこの香りを纏ったまま過ごしていられるな。
若干の胸やけを覚えつつも作業に集中した。
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