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第4話

(りん)モテモテ」 「……笹原(ささはら)」 ……軽やか足取りで僕に近付いてきたのは笹原芽衣(ささはら めい)。 一年の時から同じクラスで、色々と仲良くなった。まあ友達と言っておいてもいいかなって奴だ。 「美術室来る前にさぁ何かあっただろー」 「え、何で」 「今の奴もさぁ、霖とお近づきになりたい感じじゃん。相変わらずモテるんだな」 「……僕の質問は無視かよ」 笹原のふわりとした髪は柔らかく可愛らしく優しい印象をあたえるが、掴み所がなくマイペースな奴だ。 「トイレ行こうとしたら丁度見かけただけー。ああいう下心丸出しって恥ずかしいよな。あの社会科の先生とはしなかったの?帰ってくるの早かったじゃん」 「しないし……あいつ下手そうだったから断って逃げてきた」 「ふーーーん」 「……って笹原は僕に下心なかったのかなぁ」 「は?あのなぁ、最初に誘ったのお前だろー」 「そだっけ?……社会科のあいつ、僕達がいた保健室覗いてたみたいだぜ」 「うわ、サイテー。俺たちのいいこと覗くとかまじサイテー変態」 気がついたら笹原と並んで歩いていた。 同じ電車通学で自宅から通っている同士なので、タイミングが合えばこうやって笹原と一緒に帰る。 笹原とは特に付き合ってはいないけど、たまにエロいことをする仲だ。 笹原の身体からは嫌な匂いがしなかった。 一年の時に下校中なんとなくキスをしたらその先もしたくてしちゃった感じで、笹原もそれに乗った。 暇なときに気持ちいいことをこそこそと二人で楽しんでしまう。 それだけで、お互いに恋愛感情はない。 ……たぶん。 聞いたことがないから確かではないけど、笹原には他に好きな奴がいるんだと思う。 そしてつい先日、笹原と保健室でイチャイチャしているのを、社会科のアホ先生に見られていたようだった。 あの時はお互いのあれを扱き合って終わった気がするけど、あれを見て先生も興奮したのなら見物料を徴収したい気分だ。 …… ま、別にいいんだけどさ。

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