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第13話
バスルームから出てバスタオルで綺麗に身体を拭き、置いてあるパジャマに着替えた。
詩は昔からパジャマ派で、スウェットも持っているけど、寝間着はパジャマと決めているらしい。
なので当然僕もパジャマを愛用している。
詩が着ている色違いを買って貰ったら兄さんに変な目で見られたけど、怒られることはなかった。
「葡萄ここに置いておくから食べてね。俺も風呂に入って来るから」
「はーい」
機嫌はとりあえず戻ったらしい詩にほっとして、ソファに座ってスマホを弄る。
面倒くさいメッセージがきていたので適当に返事をした。
グループトークとか参加はしているもののほとんど既読するだけだ。
本当に必要な時だけしか返事はしないように心がけている。
スマホは便利だけど、人間関係では正直面倒くさいのでSNS関係はしないようにしていた。
スマホを置き、サイドテーブルに置かれた皿から葡萄の赤い粒をひとつとって皮をむいて食べる。甘い果汁が落ちないように気をつけ、濡れた指をペロリと舐めた。
「ん、美味しい……」
モグモグとあっという間に食べてしまったので、キッチンに皿を片付けながら手を洗う。
葡萄好き……僕の好みを知っててくれるから嬉しいしノーストレスだ。
「出たよー!いやー!風呂はやっぱり最高ですなぁ!」
風呂上がりの詩はいつもアイスを食べる。
冷凍庫からお気に入りのアイスを取り出して、美味しそうに食べるのだ。
……湯上がりの詩は最高いい。
あー!
最高いい!!濡れた髪からたまに落ちる滴までがオプションアイテムのように詩を引き立てるからたまらない!
「あ、このボディクリーム見たことない」
「これうちの新作なんだ。何種類か違うオイルを使った限定品なんだよね」
「へぇ……いい匂い。でも容器小さいから直ぐ無くなりそう」
「だけど保湿性抜群で伸びがいいからつけるのは少しでいいんだよ。限定品だから少し高いけどね」
「ふーん」
「霖はまだ肌綺麗だからここまで保湿するクリーム使わなくても大丈夫だもんね」
「そうだけど~詩だって全然綺麗じゃん!」
「俺のはこういうのを塗ってちゃんとケアしないともう駄目なんです!って言うかきちんと製品試してみないと使用感ってわからないからさ。ちゃんと使って下さいねって言われてるの」
「へー誰から?上司から?同僚?」
「……こ、後輩からですけどー!」
口を尖らせてムスっとした詩が可愛いく可笑しくてつい笑ってしまった。
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