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第16話

小さい頃から詩と一緒に寝る行為は僕にとっては当たり前のことだった。 詩は今も添い寝のつもりなのかもしれないけれど、こっちは思春期入ったら欲情しまくりでビンビンなんだ! ある日の真夜中のこと…… いつものように一緒に寝ている時、幸せそうに寝ている詩の寝顔を見詰めながら、その傍らで僕は静かに自分のパジャマの前ボタンを外して胸をさらけ出し、寝ている詩の上に覆いかぶさってゆっくりと唇を重ねた。 温かく柔らかい唇にゾクゾクしながら、興奮する下半身を擦りつける。 このまま起きないで欲しいでも起きて抱きしめて欲しい…… 唇から顎、耳朶に舌を這わせれば詩が身をよじりながら目覚ました。 寝ぼけている詩は僕を抱きしめながら、色っぽく息を吐き再びキスをねだってくる…… 兄さんと勘違いしてる? ……ヤッバ可愛い…… 「……え……り……ん?」 「詩……」 「……!ちょっ」 「ねぇ!お願い……僕我慢できない……詩ぁ抱いて……」 おねだり全開色気全開で詩に迫った。 当時フラれることなんてなかった僕は、絶対の自信があり、詩も当然のように僕を抱いてくれると思っていたのだ。 自身の胸が綺麗に見えるように背中を反らせ、詩の服を脱がしにかかろうと詩のパジャマのボタンに手を伸ばす。 その腕をとり抵抗する詩だけど、恥ずかしがっているだけで、どうせこのまま僕のことを抱いてくれるはず…… まだこの時はそう思っていた。 はい。 馬鹿な僕でした。 一瞬の出来事。 そのまま訳も分からず身体が浮き、気がついたらベッドから投げ飛ばされていた。 ……全身に痛みが走り動けないでもがいていると、手首を思い切り踏まれた。 ……!! 踏んでいるのは勿論詩で。 薄い暗闇の中、明らかに物騒なものを詩が手にいていたのが視界に入り、体温が下がっていくのが分かった。 それは普段お目にかかれない物で、それが薄闇の中妖しくキラリと光る。 薙刀だった。

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