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第18話

たとえ兄貴の恋人であっても、年が離れていても振り向いてくれなくても、僕が詩のことを好きなのは変わらない。 「霖、年上が好みなの?」 「……は?」 「兄さんの恋人が好きだって今言ったじゃん。その人いくつだよ」 「……30過ぎ……」 「おー!おっさんじゃん!」 休み明けの学校の昼休み。 僕は笹原と一緒にガヤガヤ賑わうランチルームの片隅で昼飯をとっていた。 詩と一緒に過ごした週末は、僕にとって安らぎの一時であり癒しの時間だった。 兄さんからの電話はムカついたけど、当の本人は日本にいないので怒られることはない。 朝まで一緒にベッドで眠ることができて僕はご機嫌なのだ。 結局土日と詩の家に泊まり、家には必要な荷物を取りに帰るくらいだった。 親も僕が詩のことを大好きなのは知っているから特に何も言わない。 「でも何もしないで一緒に寝るだけなんだろ?切なくね?っていうかおっさんじゃん臭くないの?」 「……切なくねーよ。臭くないし!おっさんおっさん言うな」 「ふーん、霖って結構可愛そうな。モテるのに本命は振り向いてくれないなんて切ない」 「悔しいけど兄さんにベタ惚れだからな」 「霖の兄さんってやっぱりカッコいいの?見せてよ写真あるんだろ?」 「あるけど……」 気は進まないけど笹原にいつかに撮った兄の写真を見せた。 「げ!ヤバっ!なんだこれ!」 「……」 「モデルやってるだろ?」 「いや……してない。でもスカウトはあったらしくて一時期迷惑してたみたいだけど」 「えー!スゲーカッコいいのに勿体ない!なんでやらないんだ!仕事何してんの」 「建築系の仕事。本人はモデルとか全く興味ないからいいんだって。でも建築とかインテリア系の雑誌には仕事の関係でどうしてもそれらしいことをやらざるを得ない時があるらしい。ほらもう行こうぜ」 「え、ちょっとあと霖の本命見せてよ!」 「ふん、嫌だね。それより笹原お前はどうなんだよ」 「えー俺は……」 お互い小声で喋りながら、食べ終えたトレーを片付けようと席を立つと、持っていたトレイがふいに軽くなった。 あ…… 「宮ノ内、ちょっといいかな?」

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