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第24話
「先生じゃ、なかったらどちらさんですか?」
笹原も興味をそそられたのか、裾を直しながら目の前の男に質問を投げる。
僕たちが今さっきまでしていた行為に対して特に何も絡んでこないし、ただ興味深そうな視線を向けるだけ……
見ていなくてもこのはだけ具合で俺達がここで何をしていたかは検討がつくはずなのに。
変な人……
だけど見れば見るほどカッコいい。
「んー名のるほどの者じゃないよ。用事があって来ただけだからね。この部屋に用事はなかったんだけど……少し懐かしくてね。あ、そうだ授業はサボっちゃだめだぞ。教室に戻りなさい」
「だってぇつまらない授業って苦痛じゃないですか?ねぇ、おじさん年いくつ?何者?誰かの保護者?」
「そうかもしれないけど、サボるのもよくないよ。まぁ、確かに退屈な授業は面白くなかったけど。っておじさんのことはいいからここを早くでようか」
「えー!だっておじさん怪しいし、危ない奴かもしれないし!知らないおじさんについて行っちゃ駄目だって言われてまーす」
「ね、ね!おじさん身長いくつ?どうしてここにいたんですかー?」
「あのね。知らないおじさんって……でも確かにそうだな。でも怪しい奴じゃ……」
「あーーー!いたいた野宮さーん!こんなところに!もう、探しましたよー!」
生徒会室を出たところで、知らない男性が駆け寄ってきた。
しかもその遠い先には、良く見えないけどあれは教頭な気がする!!
あのひょろっと曲がったシルエットは絶対教頭だ!
「悪い。ちょっと迷ってな。行き会ったこの子達に道を聞いてたんだ」
「はぁ?迷ったってなんですか?この子たちは……」
「生徒会室まで案内してもらったんだ。すまないな、ありがとう。もう教室戻っていいぞ」
「え、あ、はい……」
「霖!行こうぜ」
ツンツンと笹原に引っ張られて、その場を後にした。
さすがに先生に見つかると何か言われそうだし、それは困る。
ノミヤ……って呼ばれてたな。あのおじさん。
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