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第25話
「あーまさか邪魔が入るとは……予想外だったぁ」
「あんなところに人がいるなんて普通思わないだろ。ベランダで何してたんだ?あ、タバコでも吸ってた?」
「うん、たぶんそうかもな~」
微かにタバコの匂いがしたから、ベランダに出て吸っていたんだろう。
何故あんなところで吸ってたかは謎だけど。
「あのおじさんが上手く誤魔化してくれたから教頭に怒られることなかったけどな」
「結果いいおじさんだった。……助かったけどさ、不完全燃焼だわ」
「はは、確かに」
結局あのまま教室に戻り、途中から授業をうけることになった。
つまらない授業は当然頭に入らない。
窓の外を眺めながら、ずっとあのノミヤっておじさんのことを考えていた。
背が高くてカッコ良くて見た目は文句なし。
知的な雰囲気もあったし、さっきの感じからして変な大人ではないはず。
着ているスーツも高そうだし、単純な考えかもだけど、金持ちかもしれない。
「うん、文句なしだな」
僕の思い人を知りたがっている仲村先輩、ああいう知的そうな大人なら先輩も納得してくれるはずだ。
相手が大人の男だったら訳ありな関係って感じだし、オープンな説明もしなくてすむだろう。
しつこい仲村先輩に、実は今好きな相手が仕事で学校に来ているんです。と、メッセージで伝える。だけど忙しいひとだからもう帰ったと。……でもこれ内緒ですからね?
……と。
そうメッセージを下校する時に仲村先輩に送った。
今まさに来ているってところが現実味があっていい。
はは、全然知らねーおっさんだけど。
「み、宮ノ内君!!!!」
……
え、
何?
何が起こったの?何でここに仲村先輩がいるの?
僕の教室の扉の外にスマホを片手に持った仲村先輩が息を切らしながら立っていた。
「今ここに来ているって本当かい!?」
「え、え、えーーー」
ぎろりと睨まれつかつかと僕の席まで来て歩いてくる先輩の表情は怖い。
ちょっと待て……
「宮ノ内こっち来て」
目が点になっている笹原の目の前で、ぐいっと手首を引っ張られ、仲村先輩に強引に連れて行かれてしまった。
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