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第27話

まるで壁にぶつかったような衝撃で、その勢いで弾かれてしまった。 「……っと大丈夫か!?」 「いっつぅ……」 じぃんと顔が痛くて言葉が出てこない。尻餅をついてしまって尻も足も痛い。 「元気がいいな。あれ、君?」 ……その渋い声に聞き覚えがあった。 はっとして顔をあげると先ほど生徒会室にいたあのノミヤっておじさんが僕を見下ろしていた。 うわ!いるし!やっば! 今日の会議の面子がどうか知らないけど、このおじさんクラスのクオリティーの奴は他にいないはずだ。 「大丈夫か?」 「……む、無理」 差し出されたその手に素直に手を重ねて、起き上がらせてもらう。 大きな手……起き上がりながら少しかがみこんだノミヤの耳元でこっそりと呟いた。 『あの先輩さ、ストーカーで困ってるんだよね。おじさん車でしょ?僕を保護してよ』 なるべく切実に囁き、ぎゅうっとおじさんに抱きついた。 反射的におじさんの身体は少し固まり、暫く沈黙が続いたけど、ため息とともに頭を優しく撫でられた。 「……痛むところはないか?」 「あし、足ひねったみたい」 「え!宮ノ内大丈夫?」 「……う、うん。歩くと痛い……あの……一緒に帰ってもいい?」 困った表情を浮かべながら、おじさんをチラッと見つめた。 僕を興味津々な瞳で見ているけどやっぱり男前だなぁ…… その顔がフッと微笑む。 「勿論。歩けるか?」 「うん、なんとか……」 「腕に掴まりなさい」 「はーい。あ、先輩ごめんなさい。僕このまま帰ります」 「え、あ!うん!お大事にね!さよなら」 「失礼しまーす」 目が点になっている仲村先輩を置いて、おじさんと二人昇降口を後にした。 ひょっこひょっこと足を引きずりながら駐車場を目指す。 「……はぁ、助かったぁ」 「もう、いいか?」 「良くないよ。ちゃんとうちまで送ってよ。おじさん」 「おじ……おじさんか……傷つくなぁ。もしかして、その足……」 「……マジで痛いの。おじさん身体でかすぎだよ~弾かれたし」

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