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第28話
おじさんに支えてもらいながら駐車場に駐めてある一台の黒い車に乗り込んだ。
その助手席に座ると、急に足首の痛みが増した気がする。
ズキン……ズキン……
「ね、おじさんって誰?何者?」
「おじさんってねぇ……高校生から見たら三十代はおじさんなのか……結構ショックだなぁ」
「30……っていくつなんですか?」
「今年、35歳になるよ」
「……へぇ~」
「その反応はもっと上だと思ってただろ」
「えへへ、そんなことないですよ~」
なーんてぶっちゃけアラフォーかも?って思ってた。
兄さんが今年36歳。
……兄さんより年上に見えたけど一つ下なのか……
ちなみに愛love詩はどうみても三十代に見えないベビーフェイスなので、比べる対象にはならない。
「でも知らないおじさんの車になんか乗っていいのか?俺、危ない人かもしれないぞ」
「だって今日うちの学校の会議だったんだろ?先輩が言ってたからその関係者なんだろうし、調べればおじさんが誰かわかるだろ?あ、ちなみにさっきの先輩のパパはPTA会長だって言ってたよ」
「……仲村さんか……」
「そう」
「で、その仲村先輩がストーカっていうのは嘘か?本当か?」
そう聞かれてたので首を傾げるように運転席のおじさんを改めて見つめる。
運転している横顔もそりゃカッコいいし、声もいい……これは助手席に座る女性達はたまらないだろうなぁとそう思った。
「その前にさ。自己紹介しませんか?僕、蒼央高校二年の宮ノ内 霖 。12月16日生まれのB型。好きなタイプは清潔感のあるいい匂いのする人」
「はは……後半の情報必要か?俺は野宮 碧人 、12月6日生まれのO型。好きなタイプは……うーん、まぁ……清潔感のある人が好ましいかな」
「えー何それ、美人系とか可愛い系とかないんですか?」
「……それ系の質問は困るんだよなぁ。美人も可愛い人もどちらも好きだよ」
「ふーん、で?肩書は何?」
「一応蒼央高校の副理事を任されてるよ。野宮って名字聞いたことないか?」
「……」
「……」
「……あ、ヤバ」
「……はは」
野宮って、野宮ってうちの学校の理事長じゃん!?
おじいちゃんみたいな写真を学校の資料とかプリントに載っていた気がする!全然!
「全然気がつかなかったぁ~!え、もしかして理事長っておじ……野宮さんのお父さん?」
「そうだよ。蒼央高校は俺の母校でもあるから、君は俺の後輩になるね」
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