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第31話

…… …… ん…… あ……れ? 「宮ノ内!こら、着いたぞ?起きろ」 「わ!……あ、なんだ野宮のおじさんかぁ」 揺すられて目が覚めたら、目の前に見慣れない男の顔があって驚いてしまった。 「良く寝てたな。起きれるか?」 野宮さんはくすっと笑いながら、車から降りるのを手伝ってくれて少し恥ずかしい。 しまった……僕としたことが寝てたぁ…… 野宮さんが知っているクリニックで足を診てもらい、診断はやっぱり捻挫だった。 「え!僕、松葉杖嫌なんだけど!」 「仕方ないだろ?一人で歩けるようになるまで数日かかるんだから」 「っていうか、明日からの登校どうしたらいいの!?」 「車で両親に送ってもらうとか、松葉杖して……」 「親がそんなことするわけない、っていうか仕事でできないし!杖なんて!!えーー!野宮さん送迎してよ!」 「あのな、するわけないだろ」 「酷いー!」 「親御さんと少し相談してみろ」 思いのほか足首に力が入らず、この足で登下校なんてマジ無理だと思った。 それでも松葉杖をクリニックから借りたもののどうしても使う気にならなかった。 「松葉杖より野宮さんの方がいい……」 「……」 「野宮さん杖の変わりにもなるし、もしもの時には守ってくれそうじゃん?」 「あのな!」 野宮のおじさんの腕にしがみつきながらクリニックを後にする。 借りた松葉杖は野宮さんに持たせ、その役目をはたしていなかった。 「お尻も痛いし、明日は休もうかなぁ……」 「……無理にとは言わないが極力学校は休まない方がいい……」 「じゃぁ」 「悪いけど俺を頼りにしないでくれ」 「まだ何も言ってないし!酷ーい責任とってください」 「……悪いな。明日は本当に無理なんだ。……明後日なら朝なら送ってあげられると思う」 …… おや? 「本当?」 「うん」 「いいの?嘘つかない?」 「約束するよ」 「やった!!」 すごーい!凄いぞ! この人やっぱりいいおじさんだ!! 「わーい!有難う野宮さん!!」 僕は喜びながらぎゅっと野宮さんに抱きついた。

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