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第40話
凄く困った顔している。
僕はじっと運転席に座るおじさんの顔を見つめていた。
相変わらず男前な野宮さんは、何でそんなにも俺の顔を見るんだと少し怪訝そうだ。
セックスをしたことがあるかとか、色気があるかを見ていた。何て言ったらさすがに怒られてしまいそうだったから言わなかった。
……
それで嫌われてしまうのもイヤだし。
申し訳ないと思いつつも好奇心には敵わない。
そりゃ大人なんだし?こんなイイ男なんだから色気はそこそこあるに決まってる。
うーん……
だけど色気はやっぱり兄さんの方があるかな。
うちの兄さんがそんじょそこらにはいない超イケメンなのは認めざるえないし、ぶっちゃけ色気があって我が兄ながらイイ男だとは思う。
悔しいけど詩が夢中になるのもわかる。
あの駄々漏れのエロさに詩はやられたんだ。
詩ったら面食いなんだから!と思わずにはいられない。
野宮さんは兄さんとは違うタイプのイケメンで、誠実とか真面目さが全面に出ている。
そんな紳士な姿勢であたたかく接してくれるのは好ましくつい甘えてしまう。
だけどもう少し彼の違う顔も見てみたい。
そんな興味が湧いてきてしまった。
この送り迎えが終わったら野宮さんと会う予定はないのだ。
それは何か寂しい……
メッセージ交換をしてはいるけど、所詮は大人と高校生。
会いたいなぁと思っても気軽に声をかけられる関係ではない。
うーん。
どこかへ出かけるとか、そういう話題に持っていけないかと思い、話をそういう方へ持って行く。
「でもお出かけは嫌いじゃないかなぁ」
「……」
「……」
「足が治ったら」
「うん!」
「友達とどこかへでかけたらいい」
……
そんな言葉を聞きたいわけじゃない。
今の流れだったら一緒にどこか行くか?どこがいい?だろ!?声のテンションで気持ち伝わってるはずなのに!
明らかに断られた気がしてショックだった。
つまんない。
期待はずれの返事だったからその後話をするのも面倒くさくなってしまった。
ぼーっと外の景色を眺めていると、隣でふっと笑う気配……
「口が尖ってるぞ」
「……」
「拗ねるな」
「拗ねてない」
「悪いな。おじさんの俺は君の友達にはなれない」
「……なんで」
「年が違うだろ」
「年、関係なくない?野宮さんと僕気が合うと思うんだけど」
「……」
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