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第41話

「気が合ってもな。おじさんは忙しいし。おじさんじゃなくても遊ぶ友達は沢山いるだろ」 「……」 遊ぶ友達…… 遊ぶだけの友達ならそりゃいるさ。 声をかけたら大抵予定を作ってくれるし行きたいところに行って遊んだり美味しいもの食べたりとかできるだろう。 一緒に写メ撮って、さも親し気な空気を醸すわりに何故か心は満たされないんだ。 でもそういう友達ではなくて気兼ねなく楽しく過ごせる友達が僕にはいない。 一番近くにいる笹原も休日に遊んだことはないし、休みの日にあいつが何をしているかもよくわからなかったりする。 気兼ねなく話せる野宮さんと一緒にいると楽しいし、友達になれそうだと思ったんだけど。 向こうは違うようだった。 …… 「おじさんの馬鹿。遊んでくれてもいいじゃん」 「あのな。おじさんはこう見えて結構忙しいんだからな」 「何その理由。忙しいなら僕だってそうだよ」 「はいはい。もうすぐ着くからな」 「……」 馬鹿馬鹿文句をいいながら見慣れた街並みを眺める。 あーあ…… 所詮大人なんて子供を相手になんかしないんだ。 僕のことをちゃんと見てくれているのはやっぱり…… 「あ!止めて止めて!」 「ん?」 歩道を歩いている人物が視界に入り、咄嗟に声を上げた。 あの後キュートな姿!!この僕が見間違うはずがない! 「詩ーーー!」 窓を開けながら大声で叫んだ。 するとその人物はキョロキョロを辺りを見渡し後ろを振り返る。 瞳をパチパチと瞬きさせた詩が車に乗っている僕に気がつき、驚いた表情を浮かべていた。 「おじさんここでいい!あそこ!詩の前で止めて!」 「え、詩?わかった」 車が詩のいる脇に止まるのを待ってからドアを開ける。 「あれ?霖ー!?どうしたの」 「あのね!おじさんに送ってもらったんだ!うちに行くんだろ?僕もここから詩と一緒に帰るから!」 そう言いながら、いつものように思い切り詩を抱きしめた。

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