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第42話

野宮 …… いい子だと思う。 おませで少し生意気で、だけど素直だ。 それにあの顔はヤバい。 美人顔で染みひとつない白い肌は繊細でガキのくせに色気が漂う。そりゃ周囲からモテるのも当然だ。 俺が宮ノ内の魅力に惹かれていることは確かだ。 だけどこの子は高校生だし、俺は三十代半ばのおっさんだ。 何して遊ぶんだよ。 誘って欲しい。宮ノ内が一緒に出かけたいと思っていると知りつつもそれを避けた。 こんなおっさんじゃなく、友達と遊べ友達と。 明らかに機嫌を損ねたらしく、それからはほとんど無言。横目で見れば宮ノ内の口元が尖ってツンツンしていた。 なんだそれ可愛い…… 思わず笑みがこぼれてしまう。 自分とは関わりのない世界で生きている学生と何気ない話をし、少しだけでも同じ時間を過ごせたことはとても新鮮で楽しいものだと思った。 しかしもうこれで子の事も関わることはない。 そう思うと残念な気もする。 でも……仕方がない。 俺は俺。 この子にはこの子の世界がある。 この数日で関わったくらいで二人の関係がどうなるわけでもない。 明日からはまた変わらない生活が待っているし、それはこの子も同じことなのだ。 友達と学校生活を満喫し、勉学に励んでくれたらそれでいい。 何もおじさんを相手にしなくてもいいんだ。 急に車を止めてくれと言われ驚いたけれど、言われた通り安全に車道の脇に車を止めた。 ……知り合いを見つけたのか。 やれやれと思い、その相手に軽く会釈した。 ぺこりと御辞宜をする彼は若い。 俺よりも若いだろうその男性は、柔らかい雰囲気を持っていて、なかなかの好青年だ。 大学生?でもスーツを着ているから社会人なのだろう。 車から降りた宮ノ内に驚き、慌てる様子が少しコミカルで人目を惹く。 そしてそいつに躊躇うことなく抱き着く宮ノ内の姿にもまた驚いた。 ……あんな人懐っこい顔……するのか。 無邪気な顔で詩と呼ばれた青年に話しかけている宮ノ内の態度は、とても嬉しそうでデレデレでわかりやすい。 あ……本命って彼のことか。 それを知ってまたもや笑みがこぼれてしまう。 恋愛対象じゃないって言ってたけど、そんな感じには見えなかった。 詩と呼ばれた青年も宮ノ内に好意的だし、二人の関係は傍から見ていてとても幸せそうに見えたからだ。

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