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第44話
そーんな出来事があってから1ヶ月ほどが経った。
僕が怪我した足はすっかり治り、普段と変わらないいつも通りの生活を送っている。
もうあの人に連絡してないし、連絡がくることもない。
明日は学校は休み……当然のように詩の家にお邪魔してゴロゴロしてる僕。
夕食を済ませてソファーでまったり中だ。
今日のカレーもとっても美味しかったぁ。詩が作るご飯は何でも美味しい。
これでまた今夜も一緒に同じベッドで寝られたら幸せなんだけど!
……ってさ、そういつも上手くいくものでもない。
今夜はダメなんだ。
家に帰らないと。
「霖、そろそろ帰れ。もうこんな時間だ」
「……」
「詩、霖を送ってくる」
「ふぁーい」
「……」
リビングに寝そべっている身体をお越しながら僕は、声をかけてきたその人物を無言で見つめた。
スラリとした長い足……背が高くコートを羽織る姿は様になっていてムカつく。
モデルでも十分食っていけるだろう、そんな容姿のおっさんは僕の兄貴だ。
宮ノ内霧緒……
はっきり言って、はっきり言ってカッコいい……
僕でも認めざるをえない美形おじさん……それがムカつく腹が立つ!!
「はいはい、帰りますよー」
そう言いながら起き上がり鞄にスマホを入れようとした。
~♪
……
届いたメッセージを何気なく確認する。
……
……
「霖ー?忘れ物ない?」
「……」
「おーい!聞いてる?霖くーん?」
「え?あぁ……大丈夫!じゃ、詩またね!お休み~」
「はいはい、お休み~」
ぎゅっと詩と抱きしめ合って詩の家を後にした。
その間、兄さんがその様子を静観しているのはいつものこと。
兄さんはこんなことじゃ怒らないのだ。
僕が詩にくっついても抱きしめても何も言ってこない。
それがまた余裕な感じがしてムカつく。
だけど兄さんが詩のことを好きだって言うはわかる。好きというかメチャクチャ好きなんだ。
だって職場の飲み会に迎えに行く時点で過保護だろ?
詩はお酒に弱いらしく過去に色々やらかしているのだろうか、兄さんは可能な限り迎えに行くのだ。
自分がどうしても行けない時は僕が行っている。
……未成年を保護者代わりに使うのやめて欲しいとか思うんだけど、詩のことだから喜んでホイホイと迎えに行っちゃう自分がいた。
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