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第47話
野宮
「ふぅ……」
……
たかだか一言メッセージを送るだけなのに、何を俺は緊張しているんだ。
自宅のデスクの椅子に腰かけながら、思わず深いため息が出てしまった。
相手は数日だけ関わった高校生だ。
しかも男だぞ!男子高校生だ!
もう関わらないだろうと思っていたのに、俺はその子にコンタクトをとろうとしている。
送るか送らまいか何度も悩み悩んで、最終的に目をつぶって勢いで送信した。
こんなに緊張したメッセージははじめてかもしれない。
向こうがどんな反応を示すのか、それを考えただけで心が重い。
もう向こうは俺の名を既に削除しているかもしれないし、無視されてしまうかも?
そんなことを考えている自分が情けなく思えてくるが仕方がない。
もとはと言えば宮ノ内の好意を跳ね除けた俺が悪い。
友達になりたいという宮ノ内の可愛らしい気持ちを俺は跳ね除け、突っぱねた。
高校生とおじさんが友達になんてなれるわけがないと思っていたし、彼の発言をガキの気まぐれだと思い軽んじていたのだ。
……
『おじさん誰?』
暫くして届いたメッセージに苦笑いしてしまう。
やれやれ、やっぱりまだ怒っているか。
それでも返事が返って来てくれたことにホッとした。
『おじさん誰って酷いな』
『酷くないよ』
『まだ拗ねてるのか』
『拗ねてません』
はは、このやり取りだけでツンとしたあの表情を思い出してしまい、ついニヤついてしまった。
こういう素直な反応を返してくるところがガキっぽいと思いつつ、そこが好ましいとも思ってしまうのはどういう感情なのか。
とりあえず、彼と会わないと……
そう思った。
どうせ俺と出会ったことなんてほんの一瞬の些細な出来事だったわけで、直ぐに忘れてしまうだろう。
そう思っていたのに……
そうではなかった……
……
俺のことをその後も話題にしてくれていたとか、笑顔で話してくれていたなんて知ってしまったのだ。
そんな話を聞いてしまったら、途端に彼に申し訳なくなってしまったし、会いたくなってしまった。
彼のことを一人の人間として扱っていなかった自分が情けない。
そんな気がしてならない。
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