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第58話
そう僕にとって詩は詩!
神とかそんな存在じゃない!
大好きな僕の詩なんだ!
だからこの大きな海を見た時に感じた感覚はまるで詩みたいだと思った。
圧倒的に大きな存在で、波音が「霖頑張れ!」って言っているようだった。「俺はわかってるから素直になれー!」って。
詩が背中を押してくれている気がして凄く嬉しかった。
だからそんな存在の詩と野宮さんは比べる対象ではない。
「だからね、詩のことは気にしないで」
「……俺が嫉妬するとしたら?」
「……嫉妬?詩に?あはは変なの!でも……嫉妬してくれるのは嬉しいかな」
大きな胸に顔を擦りつけ、手の平で胸板を撫でると、頭をトントンと撫でられた。
髪をサラサラと撫でてくれて、それだけで心地よい。
「だってそれだけ僕の事好きだよってことでしょ?」
「……ま、まぁ」
「ねぇ、もっかいキスしたい」
「……」
「ね?しよ?」
顔をぱっと上げると、思いがけずすぐに口を塞がれた。
「ん……ふ……」
チュッチュと何度も触れるだけのキスをし、互いに舌を絡めてじっくりとキスを味わう。
抱きしめられ、髪を撫でられ、積極的な野宮さんの姿勢に嬉しさが込み上げる。
ねっとりと舌が口内を犯し、吸われ舌と舌が絡み合うにつれ体温が上がっていく……
気持ち……いい……
歯列をなぞるように舌が這い、下唇をベロリと舐められるとゾクリと震え下半身がずくずくっと感じてしまう。
野宮さん……意外とキス……上手いんだぁ……
腰に手を回され身体が密着すると、自分の身体の細さと華奢さがわかり少し恥ずかしくなってしまった。
野宮さんの身体は逞しく仕上がった男の身体で、ひと回りふた周り大きく感じるのに、僕の身体はもやしみたいだしこの胸板の薄いことといったらない。
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