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第69話

「え」 「……」 「今なんて言ったの」 「……だから」 「ちょっと待った!予想外過ぎてやっぱり聞きたくない!」 「あーのーな!霖!」 初めてのあいちゃん宅に訪問。 男の一人暮らしにしては広すぎるシックなマンションに驚きつつも胸膨らませている僕だった。 窓からの眺めもいい感じだ。 ここにはこの間の約束があって来たのだ! 清潔な広いベッド!!! が、あるー!! それなのにそれなのに! 耳を疑う言葉に若干キレそうになってしまった。 「霖とセックスするのは、霖が高校を卒業したらな」 「」 そう言われてしまったのだ。 「え、なんで」 「その言葉の通りだよ。霖はまだ17歳の高校生だ。社会人の俺が手を出していい年齢じゃない」 「は?もう淫らな行為しましたけど!?」 「だ!だから!!あれはっ!不徳の致すところで」 「車の中でしこしこしたよね!?やだやだー!するー!」 ジャンプするようにあいちゃんに抱き着いた。 今日はいっぱいイチャイチャできると思い、楽しみにしていたのに、地獄へ突き落された気分だ。 しがみついていると、ぎゅっと強く抱きしめられ身体が密着する。 身体がひとつになったような感覚になりそれだけで気持ちがよかった。 ……あったかいしいい匂い。 「霖、好きだよ」 「……」 「こんなおじさんが言うのも恥ずかしいけど、好きだよ」 「うん……恥ずかしいと思うけど、嬉しいよ」 「はは、よかった。この思いは変わらないことはわかってくれるか?」 「……」 「別に霖のことが好きじゃないからとか、シタくないからとかじゃないんだよ。俺なりに考えてきちんとケジメをつけたいと思ったんだ」 「……まだ僕が未成年……子供だってことでしょ」 「ハッキリ言うとそうなる。せめて大学生にならないと……」 「お互い想いあって愛し合ってるんだからいいじゃん~」 「俺は霖を絶対傷つけてしまいそうだから嫌なんだ」 「え……ヤダ、そんなに激しいの?それかあいちゃんのおっきいの?」 「……ったくそうなんでもかんでも聞いて来るな!ちがう!霖の身体が心配なんだよ!それにちゃんとつき合いたいんだ」 「……うん」 「同性でつき合うのは社会的に大変だし、それにこの年の差……周囲から見たら完全に偏見の目で見られるだろう。周りの人すべてに認めて欲しいとは思わないが、身近な人にはやっぱりひとりでも多くに祝福してもらいたい。そう思うんだよ」 あいちゃんが言っていることは良くわかる。 わかるけれど、約一年間セックスがお預けになるという事実に納得できずにいた。 だって! それまで何!? なにもできないの!?

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