33 / 44
シンの過去
俺らは車を走らせ、近くのホテルに飛び込んだ。
ロビーで鍵を受け取ると、足早にエレベーターの乗り込んで、絨毯のひかれた廊下を早歩きで歩き、客室に入る。
シンが後ろ手で鍵を閉めると、唇を勢いよく奪われた。
「んん……っあ……ぅんん……」
性急なキス。
いつもゆったりとするキスとは違って、唇まで食べられてしまいそうな濃厚なキスに腰が砕けそうになる。
やっと開放されると、そのままベッドに押し倒される。
Tシャツの中に手を入れて、体を撫でられながら、またキス。
キスも気持ちいいけど、脇腹や乳首を撫でられる度に体がビクビクと反応してしまう。
「シン……!んあ……っ」
「マヒロのこと、もっと欲しい……」
ズボンも脱ぎ去り、シンも全て脱いでしまった。
産まれたままの姿で、絡み合い、肌が触れる度に熱が生まれる。
その熱のせいで汗ばむ肌が、お互いをしっとりと包み、離れがたくする。
俺の無防備なモノをシンは相変わらず、臆せず口で包み込む。
もう限界だとばかりに腫れ上がったモノから、勢いよく出しそうになったところで、シンは口を離す。
「あ……っ!な、何で……?」
「一緒にイこう」
全く気づかなかったけど、俺の後ろはもうシンを迎え入れられるくらい柔らかくなっている。
「うん……。一緒にイきたい……」
固く大きなモノを俺の柔らかい孔で包み込む。
内側が擦れて、腰が反ってしまうくらい、気持ちいい。
そのまま、ピストンされ、少しだけ射精してしまった。
「あ……っ奥気持ちいいよぉ……」
「マヒロは奥を擦るとすぐにイくな……一緒にイくって言ったのに。もう少し我慢しないと、ね」
ぐっとまた奥まで突き刺さり、ピストンがまた始まった。
我慢……我慢しなきゃと思っているのに、快感が溢れてしまう。
「マヒロ……もう、イく……イくよ!!」
シンの余裕のない顔は初めてで……いつも余裕のあるかっこいいシンじゃなくて、なんだか……かわいい。
「俺も……もう限、界……っ!あぁぁっ!!」
お腹の中、すごく熱い……っ。
俺の精液も、シンにかかってしまった。
お尻の中の精液は、シンのモノがずるりと抜けると、どろりと溢れ出た。
放心状態で投げ出された俺の体の上に、シンが倒れ込む。
「シン……重いよ……」
「ごめん。もう少し、マヒロの肌を感じてたい」
そのままシンは、俺のお尻の割れ目を撫でる。
「いつも、いっぱい出してごめんね。あとでシャワールームに行こう。掻き出さないと、お腹痛くなるから」
「シンに掻き出されるの恥ずかしいんだけど……」
「それは、我慢して」
耳元で笑われた。
シャワーを浴びた後、裸でベッドに並んで寝転んだ。
エッチも好きだけど、こういうただ横で眠るのも好きだ。
「マヒロ……君を好きになれて嬉しい」
「急にどうしたの?」
「私はね、本気で恋することに臆病になってた」
そう言えば、ゲイバーのジョージがそんなことを言っていた。
ひどい失恋をしたって。
「……ジョージから聞いたよ。ひどい失恋をしたって。内容は聞いてないけど」
「私がゲイだと自覚したのは子供の頃で、その時親にも告白した。幸いにも両親は、私を否定せずに受け入れてくれた。そして、姉や弟も同じく、受け入れてくれた。
ハイスクールに入った時、一人の少年に恋をした。……勉強はあまりできなかったけど、ギターやピアノが弾けて、いつだって皆の中心にいて……アイドルみたいな子だった」
遠い眼差しで語るシンは、俺の頭を撫でてくれていたけど、「俺」じゃなくて、その「アイドルみたいな子」を思いながら撫でてるんじゃないかと思った。
そう思うとなんだか、複雑な気持ちになった。
「その子とは暫く友達でいたが、私の気持ちが抑えられなくなり、告白した。初めはその子も動揺していたけど、付き合うことになった。
私は大学生になり、彼はアルバイトをしながら、ミュージシャンを目指していた。
同じ部屋に住んで、幸せな生活を続けていけると思っていた」
切なげなヘーゼルの瞳が揺れている。
その人のことが、本当に好きだったんだな。
「彼と付き合い始めて五年。あるクリスマスの夜、彼は帰って来なかった。ずっと待ってたけど、三日経っても帰ってこなくて、彼のアルバイト先にも行ってみたけど、いなかった。
私は最後に彼の実家を訪ねてみた。
すると、彼がいた。庭先で、お腹の大きくなった女性と並んでベンチに座っていた。
私に気づいた彼の両親は、『もうすぐ2人が結婚するんだ』と教えてくれた。
……もう何が何だか分からなかったよ」
俺はなんだか聞くのが辛くなってきて、思わずシンを抱きしめた。
「彼は二股をかけていたんだ。彼は私に本気じゃなかった。問い詰めたら、『子供が欲しかった』と言われしまった。……初めから、そう言って欲しかった。だったら、こんな思いをせずにいられたのに。どれだけ私が愛を捧げても、それだけはあげられないのだから……」
じわりと肩が熱く濡れる感じがした。
シンが泣いてる。
「シン、俺はシンだけいたらいいよ。何もいらないから」
「信じていいんだね……マヒロ」
ぺろりと、シンの涙の跡を舐める。
「いいに決まってるじゃん」
ともだちにシェアしよう!