19 / 80

第19話

「睦月!!」 「美空?まだ帰ってなかったの?」 「中くんのこと聞いた…側にいてあげなよ」 「何で俺がいないとならない?」 「それは…」 「俺とあいつはなんの関係もねぇだろ。お前みたいに幼馴染みでもなんでもないんだし。俺が側にいてやる義理はねぇ。だいたい幸三郎がいるからいいだろ」 「むーくんっ!!本当にそう思ってるの?そんなに…色が変わるまで拳を握りしめてるくせに!!早く行きなさい!!」 「俺が側にいればかえって傷付く…あいつは自分を俺に見て欲しくないって言ってた…だから…」 「むーくんのばかぁ!!」 「睦月!!いい加減にしなよ!そんなに逃げないでよ。怖いんでしょ?好きになること」 「…」 「ねぇ。睦月…中くんは今お前に抱き締めて欲しいって…そう思ってるんじゃないかな?確かにお前はまだ中くんをそういう目では見てないかもしんない。でもさ…睦月気付いてないでしょ?中くんが来なくなって元気なくなったこと…」 「は?そんなこと…」 「あるよ。ため息増えた…食も細くなった。何年一緒にいると思ってるの?そんなことわかってるよ?ねぇ。睦月。今は付き合うとかそんなん考えなくていい。でも今中くんにはお前が必要だよ。」 「俺には仕事がある。だから…行かない」 「会長」 「あ?あぁ。お前か…」 副会長の三葉がやって来た。 「今日の分は俺がやっておきます。だから行って下さい」 「いや…でも…」 「行って下さい」 結局全員に詰め寄られ渋々中の元へ…向かおうとしたのだが…でも… 「俺…あいつのこと…何も知らない…」 今どこにいるのか?あいつの家がどこなのか? 「行けねぇし…」

ともだちにシェアしよう!