中side 翌日周りの噂で先輩がＡ組だと知った。このクラスからは一番遠い。 休み時間に向かうのは無理だな…でも昼休みなら… 思い立ってすぐに行動した。 先輩のクラスに行ったらかなり驚かれてしまった。 「お前…わざわざこんなとこまで来なくても…」 「だって…昨日連絡先聞いてないし…会いたかったし…」 素直な気持ちをそのまま伝える 「何？何？誰？むーくん！俺と言うものがありながら浮気？」 あれ？この人だれ？すごく可愛いけど先輩の思い人ではない…なのに…浮気？先輩好きな人いるけどこの人と付き合ってるのかな？ 俺とは全然違うタイプ…先輩は小さくて可愛い人が好きなんだ…俺じゃあ到底無理な話…こうなら望みはあったかもしれないのに…俺はこうにはなれない… 「あの…俺…すいません…」 わかんない…頑張れる？…無理かもしれない… 「え？え？」 「雛…言っていい相手と言ってはいけない相手がいるんだよ？もう…ごめんね。俺は水無月 美空。睦月の幼馴染みだよ。こっちは雛菊 よもぎ。ごめんね雛は睦月になついてて」 「えと…え…と…霜月 中です…あの…」 呆然としていると別の声が響く。決して高くはないとても心地のいい声…あの人だ…先輩の想い人…水無月 美空先輩…名前の通りすごく綺麗な包み込んでくれそうな人…雨の合間の希望の晴れ間みたいな…敵いっこない… 「あ！！」 「何？雛」 「中くんってもしかしてむーくんのこと好きなの？」 付き合わなくていい…友人としても側にいられれば…きっといつかいい思い出に出来るから…だから…せめて先輩が卒業するまではもがいてみたい…一人の世界に耽っていた時に突如響いた声。雛菊先輩の問い…。一瞬遅れて…あ…あぁ！！ばれた…この人…鋭い！言われてテレる…そう…好きなんだ… 「えっ…と…はい…」 「なぁんだ！！そっかそっかごめんねぇ。頑張って！今むーくんは傷心…っいてっ…。何だよぉ…」 あれ？応援された？傷心？先輩が？ 「余計なことを言うな…」 先輩が焦ったように雛菊先輩の頭をはたく 「えっと…」 目潤んでる…大丈夫かな？雛菊先輩…にしても…この人可愛いな… 「霜月君。…一緒にお昼食べよ？」 水無月先輩が提案してくれる 「水無月先輩…！いいんですか？」 「そのために来たんじゃないの？お弁当は？」 当然のように言い切る先輩。 「あ！！教室に忘れてきた！」 そっか…今昼休み…ご飯食べなきゃだったのに先輩に会いたいって思いだけで来ちゃったから忘れてた… 「あらら…ん～俺作ったので良ければ一緒に食べる？今日はみんなにお弁当振る舞う日だから多目に作ってるんだ。…あ…でも…お家の人の手作りなら…申し訳ないよね？」 すごい…そんな日あるんだ…料理も出来るなんて…やっぱり無理だ…しかも優しい…初めて会ったよくわからない俺のことも知りもしない俺の家族のことまでも心配してくれるなんて… 「いえ…あの…俺いつもコンビニで買ってくるから…」 両親は共働きで最近はちゃんと顔を合わせていない。いつもご飯代といってお金だけ置いてあるそんな家だし… 「え！！コンビニばっかり？？」 「はい…」 「だめだよぉ！！明日から俺が作ってきてあげる！だから明日からも来て！！」 水無月先輩に叱られた…しかもお弁当作ってくれるなんて…こんなよくわからない俺のために… こうたち以外に優しくされたことなんていつぶりなんだろう…嬉しい… 「えぇ？俺も美空の食べたい…」 「雛は弥生先輩が作ってくれるでしょ！」