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第30話
中side
それから少しずつ雪割先輩を見る角度を変えてみた。
始めはやっぱり雛先輩が言ってたように傷心って感じがした。
水無月先輩を見る目がそう言ってた
水無月先輩は気付いてないけれど
それが少しずつ変化してきた。あれだけ切なそうに見ていたのに今は少し違う。
仲の良い友人。そんな位置付け…
でも、やっぱり誰より大切な人。でもきっと恋情の視線じゃない
少しでも俺が影響していたら嬉しい。
そしてあの日…雪割先輩は俺を見つめ作った笑顔じゃなく本当の笑顔を見せてくれた…でも…こうの姿を捕らえすぐにまた作り物の笑顔になってしまう…
敦夢が昼休みに担任に呼ばれ行ってしまって一人になるこうを放っておけなくて連れて来たはいいのだけれど…
「君は…入学式の日転んでた…」
先輩は入学式の事覚えてた…俺の時は覚えてなかったのに…すごく寂しい…やっぱり好みの可愛い子は覚えてるんだな…少し落ち込む。
「はい!坂本 幸三郎です」
「こっ…こうざぶろう!?えー!!」
「似合わないでしょ?
周りからは名字か、ゆきちゃんて呼ばれてます」
「ゆきちゃんはあたるんのお友だち?」
「いえ。僕は中の婚約者です」
こうがまさかの発言をする。そんなことありはしないに…こう…何を考えてるの?
「幸。それは子供の頃の口約束なだけで違うでしょ?」
確かに小さい頃結婚しようね。ずっと一緒にいようねって話しはしたけれど今はこうも俺も何とも思ってない。こうはあんなにも敦夢の事を思ってるのに…
「違わないでしょ?両親公認じゃん。高校卒業したら入籍するんだし」
何でそんなこと…そんな出鱈目なこというの?怖くて雪割先輩を見たら…初めて会ったときみたいな顔…そして…
「へぇ。羨ましい!こんな可愛い婚約者いるなんて」
自然な笑顔でこうに笑いかけた…俺はあなんなに時間がかかったのにこうはこの数分で笑顔を引き出した…やっぱり俺じゃあダメなんだ…でも誤解は解きたい。これは違うって
「雪輪先輩!違います!!俺は…先輩のことが」
「だめ!!中は僕の婚約者。誰にも渡さない!」
どうしたの?こう?何で…?
「こう!いい加減にして…」
「いやだ!結婚前に他の人と遊びたかったんでしょ?その気持ちわからない訳じゃないから自由にさせてたけどもうだめ。だってどうせ相手にされてないでしょ?雪輪先輩は水無月先輩と付き合ってるの!そうでしょ?中をこれ以上からかわないで!!中で遊ばないで!!」
違うよ…水無月先輩にはもう大切な人がいる…
俺はいくら何を言われようが構わない。でも先輩たちを困らせないでよ…
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