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第31話
中side
「…あのさ…ゆきちゃん。確かに俺は美空のこと好きだったよ?でもね、付き合ってはいないよ」
先輩が柔らかいけどどこか冷たい言葉を掛ける。
「いいえ。あなたたちは体の関係もあります!調べさせてもらいましたから。」
何で…そんなこと…ここで言う話じゃない…
水無月先輩は泣きそうになってる…
…あぁ…事実なんだ…嫌でもわかってしまった…きっと何か理由があるんだろう…
ねぇ。雪割先輩…そのときはどんな気持ちだったの?好きなのに相手はそうじゃない…それなのに抱くってどんな気持ちだった?苦しかったよね?辛かったよね?何でその時側にいられなかったんだろう…側にいたかった…
「あのさ…」
雪割先輩の初めて聞く低い声…水無月先輩を困らせていることに怒ってる…
「そういうことってこんなところで言うもんじゃない。それが事実だとしてもね。それが事実じゃなかったとしたら?ある意味名誉毀損だよね?」
「どうもしません。どうでもいい。中を傷つける人は誰一人として許さない。むしろ中を騙してるんですからそっちのほうがおかしいでしょ?そっちの方が悪です!中。行くよ」
どうしたの?こう…こうが何をしたいのかわからない…
「やだ…行かない…お前との婚約だってそもそもないし親公認でもない。俺が好きなのは雪輪先輩であってお前じゃない。それに先輩は俺のことちゃんと振ってくれてる。でも俺が側にいたいからここにくる。会いに来て顔を見られただけでも幸せな気持ちになれる…雪輪先輩が俺みたいなやつじゃなく水無月先輩みたいな人が好きなこともわかってる。それに…雪輪先輩が水無月先輩が好きだったってことも…それでも俺は先輩のことが好きで…諦めきれない…友人としてでも側に置いてもらえている…それが堪らなく嬉しい。余計なことしないで?こう。先輩たちは何も悪いことなんかしていない」
「中のばか!!叶わない恋なんて時間の無駄だよ!それより自分を好きでいる人の元へ来た方が幸せになれる!!」
あぁ…わかった…こうは…俺のことを思い先輩を揺さぶりたかったんだ…
「俺の幸せは俺が決める!」
そうだよ。こうの手を借りなくても頑張りたかったのに…ねぇ。こう。君は間違った…水無月先輩をあんな風に言われてしまったらもう雪割先輩は俺を見てくれない…もう少しだったかもしれないのに…
「先輩方すいません!!ご迷惑をおかけしてしまって…」
先輩たちに頭を下げる…本当にごめんなさい…こうは本当はあんなんじゃない…傷付けてごめんなさい…傷を掘り返してごめんなさい…
「取り敢えず場所移そう?」
雛先輩が俺の手を掴み優しく握る…震えていることに気がついたんだね…雛先輩は誰よりも心の変化に敏感なんだ…意外だ何て言ったら怒るかな?…
雛先輩に手を繋がれたまま移動した。
教室を出るときの周りの視線が痛かった…
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